求めたのは癒し ページ26
沈黙を破ったのは、キミのスマホ。
重なったキミの温かな手がパッと離れると、洋服のポケットからスマホを取り出した。
「…… 友達？」
「うん…。もしもし？」
キミの感触が残る手をテーブルの下へ隠すように下げる。
温かかった…。
長くて細い指…。
大きな爪…。
男の子の手、だった…。
触れられた手をギュッと握る。
ダメだよ……。
思い出したくないあの感覚が、胸の奥で音を立てる。
もう、あんな思いは、したくない……。
臆病な私が必死になる。
必死になればなるほど、胸の奥が締め付けられる。
まだ、無理。
もう、無理。
胸の奥の感情を両手でそっと押し戻した。
小さなため息で自分を落ち着かせると、俯いていた顔を上げる。
「そうそう、そこの信号曲がるとコンビニあるから。
そこで待ってて！」
電話の向こうの友達に場所を指示する声。
「ミツ……あっ、友達ね。もう着くって。」
電話を切って、私に向ける笑顔。
キミは、また、仔犬に戻った。
「よかったね。」
「うん、ありがとう。部屋で待たせてもらって。
焼おにぎりもすんげー旨かった！」
ほらね、無邪気な表情。
席を立って、預かっていたジャケットを取りに行く。
キミが椅子から立ち上がる音がして、
「癒された？」
私に向けた声がした。
ジャケットを持って振り返ると、
無邪気なキミでもなく
仔犬なキミでもない
優しく微笑むキミがいて、
「……… うん。」
思わず素直に返事をしていた。
私の手からジャケットを受け取って、袖を通すキミが照れ隠しにイタズラっぽく、
「そんなに癒しが必要でしたか？お疲れですね〜。」
なんて、言うから、空気は、一気にリセットされる。
「色々疲れてんのよ。こう見えて。」
「本物の犬とか飼えばいいじゃん。」
「本物は、トイレのしつけとか大変だからやめとく。」
「あぁ〜、オレなら、トイレは自分で行けるしね。」
「そうそう、しつけてくれたお母さんに感謝だね。」
「だからっ！犬じゃねーしっ！」
玄関までの短い距離で繰り広げられる言葉のやり取り。
テンポよく返ってくる会話。笑い声。
また、居心地のいい空気が私を包む。
その分、靴を履くキミの後ろ姿に寂しさを感じるのも事実。
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ふるみ♪ - ニカは私のすべて〜☆にかが主人公ということでこの小説よんだら面白い！じゃないか！これからもこれ読み続けたい！ (2016年7月29日 21時) (
レス) id: 2271a2e46e (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - えりPさん» ありがとうございます(*^_^*)二階堂くんの雰囲気でてますか？よかったー。私の頭の中の妄想二階堂くんなので、願望てんこ盛りですが、えりPさんの癒しになれていたら嬉しいです。 (2016年4月16日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
えりP(プロフ) - あいさん♪♪作品素晴らしいです！ニカの声や表情がにニカらしくて、すごく引き込まれています。ニカからの優しいハグに涙が溢れてきました。引き続き、ニカの世界を楽しませていただきますね。 (2016年4月14日 12時) (レス) id: 55468976ba (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - えりPさん» はじめまして(*^_^*)最初から読んでいただけるなんて感激です！ありがとうございます。パスワード作品については、メッセージで送らせていただきますので、ご確認ください。これからも、よろしくお願いします。 (2016年4月11日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
えりP(プロフ) - あいさん、はじめまして。えりＰと申します。hiyoちゃんの紹介で、これから読むのをとっても楽しみにしています。承認よろしくお願いします。 (2016年4月11日 9時) (レス) id: 55468976ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2014年12月23日 18時
