噛み合わない会話 ページ16
――― パタン
背中でドアの閉まる音。
もう、引くに引けないよね…。
「あ…なんか、慌てているというか…。
お困りのような声が聞こえたので…。」
これは、本当。
やっぱり、怪しかったかな…。
「えっ…あ、あぁ…。
実は、鍵…なくしちゃったみたいで…。」
困った様な、ちょっと驚いた様な表情で答える声は、
少し掠れたようなハスキーだけど、
どこか子供のような無邪気さを持った、
心地いい声だった。
「それは、困りましたね…。
あっ、管理会社に連絡とか…。
いや、鍵の110番的な所の方がいいのかな？」
話しかけてしまった手前、「そうですか。じゃっ！」なんて、部屋に戻れるわけもなく。
それなら、少しでも力になろうと提案してみたら、何とも見当違いな返答が返ってきて、今度は、私の方がキョトン。
「あ、もしかして…。」
急に彼が立ち上がったから、思わず一歩後ずさる。
その距離、２メートル。
結婚式仕様の私の姿をゆっくり眺めたかと思うと。
「はいっ！握手っ！」
私が後ずさった分をつめる様に一歩前へ近づいた彼が、突然、右手を差し出した。
――― えっ？
反射的に右手を出してしまった私の手をギュッと握った彼の手は、氷のように冷えきっていて、思わず、
「冷たっ！」
声に出た。
「あー、ごめんね。」
慌てて手を引っ込めた彼が、目を合わせないように視線をそらす。
なんだ、この展開？
彼の考えてるシナリオについていけない私に、さらに、謎の一言。
「あれっ？
オレのファンじゃ…ないの？」
えっと、……これは、ジェネレーションギャップってヤツですか？
最近の若者への対応がわかりません。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 785人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふるみ♪ - ニカは私のすべて〜☆にかが主人公ということでこの小説よんだら面白い！じゃないか！これからもこれ読み続けたい！ (2016年7月29日 21時) (
レス) id: 2271a2e46e (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - えりPさん» ありがとうございます(*^_^*)二階堂くんの雰囲気でてますか？よかったー。私の頭の中の妄想二階堂くんなので、願望てんこ盛りですが、えりPさんの癒しになれていたら嬉しいです。 (2016年4月16日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
えりP(プロフ) - あいさん♪♪作品素晴らしいです！ニカの声や表情がにニカらしくて、すごく引き込まれています。ニカからの優しいハグに涙が溢れてきました。引き続き、ニカの世界を楽しませていただきますね。 (2016年4月14日 12時) (レス) id: 55468976ba (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - えりPさん» はじめまして(*^_^*)最初から読んでいただけるなんて感激です！ありがとうございます。パスワード作品については、メッセージで送らせていただきますので、ご確認ください。これからも、よろしくお願いします。 (2016年4月11日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
えりP(プロフ) - あいさん、はじめまして。えりＰと申します。hiyoちゃんの紹介で、これから読むのをとっても楽しみにしています。承認よろしくお願いします。 (2016年4月11日 9時) (レス) id: 55468976ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：植尾あい
| 作成日時：2014年12月23日 18時
