64 ページ14
俺が目を覚ますと、この家の家主で、俺の命の恩人のAちゃんは、すでにお風呂場でシャワーを浴びているようだった。
いつもなら俺より早く起きることなんてなかったのに、今日はえらく早起きなようだ。
何か大事な用事でもあるのだろうか。
俺は急いで起き上がり、キッチンで手を洗うと、朝食の準備に取り掛かった。
Aちゃんにはすぐにご飯を食べてもらえるように、早く支度しないと。
フライパンでベーコンと目玉焼きを焼いて、野菜をカットして皿に盛り付けて、小分けのパンをオーブンで焼き上げる。
なんとか形にはなったかな。
そして俺がAちゃんを呼び行くと、彼女は何やら念入りにお化粧をしていた。
やっぱり何か大事な用事でもあるんだろう。
ジント「Aちゃん、朝ごはん、出来たよ…？」
「え？あぁ、今日はいらないや」
俺のほうも見ないで、Aちゃんは鏡とにらめっこをしながらそう言っていた。
「そ、そっか…。じゃあ、晩ご飯何がいいかな…？Aちゃんの好きなもの、作って待っとくよ…」
「うーん…なんでもいいよー」
なんだか、俺の言葉なんて、なんにも聞いてないような返事だった。
俺の言葉なんて、まるで空気かのような、そんな、何もない返事。
「あ…うん…。わかった…」
悲しみが、俺の心をぐさりと突き刺した。
痛かった。
そういえば、昨日も、その前の日も、Aちゃん、なんだか様子がおかしかったもんな…。
そして、Aちゃんは大きな紙袋を何度も確認しながら、家を飛び出していった。
かなり急いでたな。
一体何があったんだろ…。
けど、俺がこんな心配したって、何もわかるはずもない。
おとなしく、この家で彼女が帰ってくるのを待っていることしかできない。
そしてその日の夜。
22時を回っても、Aちゃんは帰ってこない。
いつもならとっくに帰ってきて、寝る準備をしているのに。
作った料理もすっかり冷めてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
milkssss(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます！最後までお付き合いいただけると、嬉しいです！ (2020年2月25日 21時) (
レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2020年2月25日 2時) (レス) id: f0de405ab0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：milkssss | 作成日時：2020年2月19日 15時
