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俺が作った朝ごはん、喜んでくれてたな…。
嬉しい。
あれ？
俺、今笑ってるのかな…。
自分が何者かもわからないのに、今はそれが二の次になるくらい、心が軽い。
Aさんのおかげ、なのかな…。
バンビはどう思う？
茶色い毛玉の顔を撫でてやると、バンビは嬉しそうに尻尾を振っていた。
でも、昼間はAさん、仕事でいないのか…。
ジント「俺と二人だね…。何する？」
俺はバンビに話しかける。
って、俺が何言ってるのかなんてわからないよな。
ジント「あれ？どこ行くの？」
すると、バンビは尻尾を振りながらリビングの方に駆けていく。
どうしたんだろ？
俺も後をついて行くと、バンビが何やらリモコンの前で座って、前脚でボタンを押そうとしてる。
ジント「これ押せって？」
バンビはワンっと高い声で鳴くと、尻尾を振り振り。
ジント「で、でも勝手に付けちゃ…」
はっきりしない俺を見かねたのか、バンビは勝手に一番大きなボタンを押して、テレビをつけてしまった。
ジント「だ、駄目だよ勝手に付けちゃ…」
まさか犬がテレビをつけるなんて…。
犬ってこんな生き物だったっけ…？
俺の記憶がないから、忘れているだけなのかな？
とりあえず、ちゃんと切っておかなきゃ。
ジント「…」
でも、俺の視線はテレビに映る番組にくぎ付けになってしまった。
「8時間ぶっ通し！一日丸々盆栽特集！」
ジント「ぼ、盆栽…」
盆栽が何かまるで覚えていなかったんだけど、なぜか俺はそのテレビに映る光景に心奪われた。
なぜこんなにも心奪われるんだろう。
ジント「盆栽…最高…」
―
どれぐらいったのか分からないけど、気が付けば辺りは真っ暗で、すぐ隣で突然声がしたせいで、俺はびっくりして飛び上がった。
その時首がピキって鳴って、滅茶苦茶痛い…。
あ、でもAさん笑ってる…。
もしかして俺、今滅茶苦茶変な顔してるんじゃ…。
恥ずかしい…。
勝手にテレビ観た上に、失礼にも変な顔してしまうなんて…。
あ、謝らないと…。
っていうか俺、Aさんとまだ一回もしゃべってないじゃん…。
ちゃ、ちゃんと謝ろう…。
声を出して…。
ジント「ご、ごめんなさい…」
―
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年2月17日 15時
