愛と合図【M!LK】 ① (ページ25)

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幸い、次の日は仕事が休日。
いくら私が、布団やソファを使ってもいいって言っても、寝る時も窓際で体育座りで転寝しているジント君より先に起きて、私はキッチンで支度を始めた。

待っててジント君。
今日はあなたの為に素敵な一日にしてあげるからね！

支度を終えた私は作ったものをカバンに詰め込むと、体育座りで顔を膝にうずめているジント君に歩み寄った。

「ジント君、おはよう。今日は一緒に良いところにお出かけしよう」

…。

返事はない。
まだ寝てるのかな…？

すると、私の意志をくみ取ってか、バンビがこっそりとジント君の足元にやってきて、ズボンの隙間から覗く彼のくるぶしのあたりをペロっと舐めた。
それに驚いたのか、ジント君はいつもみたいに首をすぼめながら飛び上がった。

「うふふっ、おはよう、ジント君」

ジント「…」

ジント君は恥ずかしそうな顔を浮かべて、私に返事するように小さくうなずいていた。

「じゃあ、目も覚めたところで、一緒にお出かけ！さ、早くジント君も支度して！」

私は思い切って、ジント君の手を引っ張って立ち上がらせた。
ジント君ったらちょっと驚いた顔をして私に手を引かれていた。

―

電車に揺られて30分ほど。
車内では、いつぞやの病室のように、ただ私がジント君に向かって一方的に話しているだけだったけど、前と違うのは、彼はそんな私の話をちゃんと隣で熱心に聴いていてくれたことだ。
前は聞いてるのか聞いてないのか、あまり分からなかったからなぁ。

そして、私は目的の駅に着くと、ジント君の手を再び引いて、ある場所へと向かった。
昨日ネットで調べて、丁度近くでやっているのを見つけて、もうこれしかないと思ったのだ。
そこは大きなビルで、その入り口には大きくこう書かれた看板が置いてある。

『大・盆・栽・展・開・催・中！』

その看板を見るや否や、ジント君は一目でわかるぐらいに目を輝かせて笑うのを我慢している様子だった。
良い感じ…！
やっぱりジント君、盆栽が好きなんだ。
早く中に行きたそうなジント君の表情は、まるで遊園地の入園を楽しむ子供みたい。

「さ、行こう！」

私の呼びかけに、彼はとっても嬉しそうにうなずいた。

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