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それからというもの、ジント君は前以上にふさぎ込んでしまって、バンビですら相手にしてくれない。
バンビが心配そうにジント君の足にすり寄って行っても、彼は部屋の隅っこの角でずっと体育座りの状態で、膝に顔をうずめていた。
かくいう私も、あれ以来、胸の奥がチクチク痛むのを感じていた。
何だろこの感覚…。
昔にも同じような感覚があったような…。
でも、今はそんなことよりジント君だ。
きっとジント君は自分よりも他人を優先できるタイプの優しい子なんだと思う。
短い間だけど、ジント君と一緒に暮らしてそう思った。
記憶がないから、自分の事で手一杯なはずなのに、私の為に朝食をつくってくれたり、お風呂を掃除してくれてたりするのが何よりの証拠だ。
だから、きっとあんなことになって、私に多大な迷惑をかけてしまったって思い込んで、自責の念に駆られているに違いない。
でも、どうすればいいんだろう…。
どうすれば、ジント君に私は気にしてないってわかってもらえるのかな…。
記憶を取り戻せるように、色々お世話してあげなくちゃいけないのに、こんなんじゃあジント君を苦しめてるだけじゃない…。
私の馬鹿…。
―
佐野先生「そんなことが…」
明くる日、私は自分で考えていても、どうすればいいのか思いつかなかったので、仕事帰りにジント君の担当医だった佐野先生を訪ねた。
「すみません…。彼の面倒を診るっていって引き取ったのに…」
佐野先生「まぁ、慣れないことばかりでしょうし、問題の一つや二つ起こりますって。あなたもそんな風に落ち込んでしまっていたら、治るものも治りませんよ？」
確かにそうだけど…。
「彼の為に、どうすればいいんでしょう…。ちょっとでも元気になってもらいたいのに…」
佐野先生「そうですね…。あなたの家に行ってから、何か彼の興味をそそるような物ってありませんでした？なんでもいいんです」
興味をそそるもの…。
私はその言葉で、ジント君の観察ノート取り出してあるページを開いた。
これだ！
―
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年2月17日 15時
