愛と合図【M!LK】 ① (ページ23)

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これは一体どういう状況なのだろう。
お湯で濡れたジント君の顔が、仰向けに倒れこんだ私の目の前にある。
その距離僅か10㎝程。
ジント君の吐息を感じるぐらいにすぐ近くだ。
幸い、事前に用意していたジント君の着替えとタオルがクッションになって、頭を打つことはなかったみたいだけど…。
でも、この状況は頭を打つよりもかなりヤバイ。
足を滑らせたジント君の体が、私に覆いかぶさっている状態だ。
ジント君の体から流れ落ちる泡と水滴が、私の服を濡らしていくのを感じる。
そして、私とジント君は、しばらく体を動かすことができなくなり、お互い見つめ合った。

可愛い顔してるとは思っていたけど、こんなに間近で見ると、とっても綺麗な顔をしてる。
ジント君の透き通るような白いしなやかな肌と、大きな瞳に吸い込まれてしまいそう。
それでいて体格はやっぱり男の子って感じで。
私はすっかりそんなジント君の瞳に見とれてしまった。
真っ直ぐ見つめる私の視線と同じように、ジント君もただ真っ直ぐに私の瞳を見つめていた。

胸が高鳴って、息をするのが辛くなっていく。
こんなに胸が高鳴るのはいつぶりだろう…。

しばらくして、口を開いたのはジント君の方だった。

ジント「ご、ごめんなさい！！」

ハッと我に返ったジント君は、見たことないぐらい素早い動きで立ち上がり、お風呂に戻って扉を勢い良く閉めていた。

ジント「本当に…ごめんなさい…！！」

今にも泣きそうな震えた声だった。
私も放心状態だったが、ジント君のその声で我に返り、体を起こした。

「き、気にしないで！私は全然平気だから！体、冷えちゃったでしょ？もうちょっとゆっくりしてていいからね。本当、大丈夫だから、気にしないで！」

とは言ったものの、お風呂場の扉の擦りガラスから見えるジント君の体は、肩を震わせて泣いている様だった。

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