第二十九話 不審な気配 ページ32
「今夜だ。スネイプが仕掛け扉を破るなら今夜だ。必要なことは全部分かったし、ダンブルドアも追い払ったし。スネイプが手紙を送ったんだ」
「でも、私達に何ができるって―――」
突然、ハーマイオニーがゴクリと息を呑む。不思議に思い、振り向くとスネイプ先生が真後ろに立っていた。
「やあ、こんにちは」
「……こんにちは」
三人が先生をジッと見つめる中、僕は微笑んで挨拶を返す。
「諸君、こんな日には室内にいるもんじゃない。こんなふうにウロウロしているところを人が見たら、何か企んでいるように見えますぞ。これ以上減点される余裕は無いはずだが？」
先生の言う通り外に出ようとすれば、スネイプ先生は僕達を静かに呼び止める。
｢警告しておく。これ以上夜中うろついているのを見かけたら、我輩が自ら退校処分にするぞ。さぁ、もう行きたまえ｣
冷たくそう言い放つと、スネイプ先生は大股に職員室へ歩いていった。
「……ハリー」
「どうしたの？A」
「こんな時にアレだけど、少し用を思い出した」
緊張した雰囲気の中で、僕は用事を思いだしたと申し出る。ハリー達は納得したのか、ＯＫと返事を返してくれた。
僕はハリー達と笑顔で別れると、背を向けて真顔で男子トイレへ向かった。
「誰だ」
スネイプ先生と話していた時から感じていたこちらを見ていた視線。その人物は、思っていた通り僕についてきた。
「ッ誰だと言っている―――！」
返事をしない人物を見ようと、振り返った瞬間、僕の視界は真っ黒になった。
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作者名：空天 馬
| 作成日時：2016年6月11日 1時
