第二十二話 別れ ページ25
「ノーバート、バイバイだよ!ママちゃんは、決してお前を忘れないよ!」
とうとう、ハグリッドとノーバートの別れを告げる日が来た。
僕達は正直、どうやって箱を城まで持ち運んだのかまったく覚えている余裕がなかった。暗い廊下を渡り、息を切らしてノーバートを運ぶ間、零時が近付いてきた。
「もうすぐだ!」
すると、目の前で揉め合う声がして、足を止める。
「……ドラコだ」
「罰則です!スリザリンから20点減点です!こんな真夜中にうろつくなんて、なんてことを」
揉め合っていた相手は、見回りをしていたマクゴナガル先生のようだ。
「先生、誤解です。ポッターがドラゴンを連れて来るんです!」
「どうしてそんな嘘をつくんですか!いらっしゃい。貴方のことでスネイプ先生にお目にかからなければなりません、マルフォイ!」
必死に弁明しているドラコの姿に、ハリーとハーマイオニーは、塔の天辺に繋がる急な螺旋階段を清々しい顔で上がっていた。
「マルフォイが罰則を受けた!歌でも歌いたい気分よ!」
「歌わないでね」
そうして数十分経った頃、四本の箒が闇の中から舞い降りて来た。
チャーリーの友人は陽気で、六人掛かりの人数でノーバートをしっかり繋ぎ、僕達に礼を言った。
「さよならだ」
ノーバートは出発し、だんだん遠くなっていき、ついには見えなくなる。
「さて、さて、さて。困ったことになりましたね」
四人で螺旋階段を滑り降り、廊下に踏み入れた途端だった。
フィルチの頭が暗闇から現れた。それはまるで悪魔のようで、僕達は透明マントを塔の天辺に置き忘れてきてしまったのを酷く後悔した。
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作者名:空天 馬 | 作成日時:2016年6月11日 1時