検索窓
今日:33 hit、昨日:52 hit、合計:1,046,960 hit

第七話 シーカー ページ10






「そんなッ、A!しっかりしろ!」


 ぼやける視界でドラコを見れば、凄い形相で僕を見ていた。いつもの自信に満ちた顔は何処に行ったんだ。

 その後にネビルへ視線を向けるが、大した怪我はなさそうだった。
 ああ、良かった。



「ごめん。ごめんね、A」


 先生は僕の方脇に手を入れて抱き起こすと、ネビルにもう片腕を支えるように伝える。何を謝る必要があるのか。

 何もかも、最初は上手くいかないことばかりだ。
 ネビルは、それが今日だっただけ。






「よくもまあ無事で」


 医務室につくなり、マダム・ポンフリーに説教され、頭を包帯で巻かれる。頭以外は打撲や擦り傷だけで、額の切れたところも大事には至らないそうだ。

 しばらく安静にしていなさいとお叱りをうけると、ネビルと一緒に大広間に向かった。




「A、心配したんだよ!怪我は大丈夫なの?」

「うん、大丈夫」


 騒めくグリフィンドール生に紛れ、そっとハリーの隣に座ると、勢い良くハリーが詰め寄って来た。驚いて背中を傾けたおかげで、背後に倒れそうになる。

 体勢を戻しながら答えると、ハリーは安堵したのか笑顔を浮かべた。



「そうだ、聞いてよA!ハリーがシーカーになったんだ!」

「シーカーに?凄いな」


 僕の知らない内に、ハリーがシーカーに選ばれたらしい。一年生がシーカーに選ばれるのは、珍しいことだった。



「A」


 自分のことのように嬉しい気持ちに浸っていると、あの時聞こえたもう一つの声が耳に届く。



「……怪我は大丈夫か?」

「うん、大した怪我じゃないよ」


 振り返るとそこには、知っている顔があった。組み分けが始まる前に、ハリーと一悶着を起こしていた―――ドラコだ。

 ドラコの視線が、僕の頭に巻かれた包帯に移る。


 大丈夫なのに。

 それでも、わざわざ僕に声を掛けに来てくれたのかと思うと頬が緩む。



「そうか、何かあったら僕に言ってくれ。―――ところでポッター、最後の食事かい?地上ではやけに元気だね」


 僕に向けられていた視線が、今度はハリーに移る。どういうわけか、ドラコはハリーを睨みつけながら敵対心を露わにする。

 ハリーもハリーで、ドラコを鋭く睨み返す。
 一体、どうしたんだ。



「僕が介添人をする」

「今日の真夜中。トロフィー室でいいね?」


 しかも何時の間にか、ドラコと二人が決闘することになっている。何故こんな話になっているのか、話について行けず頭が混乱した。





第八話 浮遊呪文→←第六話 飛行訓練



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (623 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1673人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空天 馬 | 作成日時:2016年6月11日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。