道3 ページ4
私が菱田のことを好きになったのはもう何年か前のことだ。
買い物に出かけたとき道に迷った挙句、物の怪に追われて逃げていた。
A「う〜、ここどこ〜?」
なんて言ってみるが答えは当然返ってくるわけがない。
もう何十分歩いたか分からない。
足はさっき走っていて階段を下りた時にひねったようだ。
ズキズキと痛むがそれでも足を引きずって歩いていく。
?「ねぇ、何してるの?」
ふと、声をかけられた。
振り返ってみると書生風の(青年というには少し幼いような)少年が立っていた。
私は物の怪だと思った。
?「ねぇ、だから何してるの?」
不機嫌そうにもう一度問われる。
どうやら物の怪ではないらしいと私は理解して答える。
A「えっと、迷ってしまって。」
?「ふうん。そんなこと言って、なにか盗みにきたりして。」
A「なっ、そんなことしません。それにうちにはお金はたくさんあります。」
?「えっ、そんなに怒らなくっても。冗談だよ。」
A「冗談に聞こえません。」
?「悪かったって。お礼に大道りまで送るから。」
私はその申し出にしぶしぶ従って送ってもらった。
そこで運よく兄の車が通ったので乗せてもらい家に帰った。
その後、岡倉先生の元に初めておじゃましたとき菱田がいたことには心底驚いた。
だが、男装している私には気がつかなかった。
そして、何回か女の子の服をきているときにしゃべり次第に好きになっていった。
しかし、同一人物だと言える訳もなく今まで黙ってきている。
言ったらおしまいだから。
なんて逃げてるだけだから。
現に、鏡花や音二郎は知っている。
そう、嫌われたくないだけだ。分かっているけど踏み出せない。
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ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。
次も読んで下さい。
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紅藍@元あからん(プロフ) - 超面白いです!応援してます! (2015年4月2日 14時) (レス) id: a6b244fd92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芥川黒策 | 作成日時:2014年1月29日 20時