親友ポジは我慢しない【北信介】 (ページ9)

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人は我慢しすぎると爆発するらしいよページ9

言ってしまった

言うつもりなんてなかった。
ただ、気づいたら

ポロッと出てしまっただけで。

後のことなんて何も考えていなかった。

『あのっ...これ...は！その...』

言い訳をしてにごすべきか
このまま振られて私の恋は終わるか。

...どちらにせよ

私の恋って叶わないんだもんなぁ。

ヒロインの恋が100％実るように

親友ポジ...せいぜい友人ポジの恋が
叶う確率は0に等しい。

運命って...ほんと怖い

私の中に開いたままの穴は
日に日に大きくなるようで

私自身もどうすればいいか分からなかった。

だから

言ってしまった。

北先輩は
固まったまま。

それもそうか。
ヒロインに振られて悲しみに浸っている最中

今まで目を向けてすらいなかった相手に
告白されたんですもんね。

そりゃ驚きますよね。

「......まさか、海川が...俺...のこと。
好きやと思わんくて。...なんかすまんな。」

『...いえ。気にせんといてください。』

すまん...？
それって何に対してのすまんなの？

好きだって気持ちに気づかなくてすまんなのか

好きという気持ちがありながらも自分の恋に
協力させた罪悪感からのすまんなのか

私の気持ちに応えられないから

すまんなのか＿＿＿。

「...せやから、びっくりしてもうて...
その...返事なんやけど。」

『いいんです』

私は北先輩の言葉をさえぎり
拾いきったゴミを持ち立つ。

まだ座ったままの北先輩を見下ろし
私は精一杯の笑顔を作る。

『返事は、いらないんです。せやから、お互い文化祭楽しみましょうや！
今のは、なんかの間違いやって思うてくれたらええです。』

ほな、と言って私は北先輩の返事も聞かず
走り出す。

ゴミ捨て場まで小走りで向かいながら
ふと空を見上げる。

あぁ、青い。

どこまでも、青い。

私も、

こんな綺麗に...純新無垢な青になりたい。

『っ...アホらし。はよ行かな、始まってまう』

先程正式に失恋をしたというのに
何だこの満たされない心は。

何だこのモヤモヤは。

北先輩と話をしなければ
したい、させて欲しい。

心ではそう思っていても
体はやっぱり動かない。

最近は特にそうだ。
自分の気持ちが分からない。

何がしたくて、何が言いたいのか

全て、間違いのように思えて
言えなくなってしまう。

『...体育館行かなあかんわ。』

もうすぐ始まる劇＿
波乱の＿始まり