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美女と野獣と私 ページ10

〈これより1年4組による劇、美女と野獣が始まります〉

ヴーーという音とともに

開幕した私たちの劇。

あの後急いで帰って何とか間に合い
今はいかにもな村人衣装を着て待機している。


「さっき観客席見たけど、人えげつなかったわー。
さすがは宮と愛生やな。」


私と色違いの村人衣装を着た
梨沙がどかっと私の隣に座る。

それもそうだ。

侑くんと愛生は
他校でもファンクラブができるほどの人気っぷり。

そんな二人が激をすると聞いたなら

すぐさま人が駆けつけるだろう。

しかもそれを裏切らない二人の迫真の演技。

あれは女優と俳優顔負けの演技ですわ。

演技までも完璧とか、恐るべしヒロインの力。
...北先輩もそりゃ好きになるよなぁ。

こんなの、好きにならない理由がないじゃん。

私ときたらそこら辺にいる
平々凡々なモブなのだから。

少しでも近づけた、話せただけでも
ありがたいと思えってことだよね。


「梨沙。私、どないしよ。もう...分からへん。」

こんなこと梨沙に言ったって何も変わらないけど
せめて、私の気持ちをいちばん理解してくれる梨沙に


縋りたかった。

「...。私も、分からへんよ。せやけど、
あんたはまだ、分かる機会はあるはずや。

あんたは、まだ、終わっとらんから。」

「え、ちょ、どうゆう___」


予想の斜め上のことを言われ
聞き返そうとしたら

私たちが出る番になり

梨沙は舞台袖にスタンバイし始めた。


とりあえず私も劇を優先させ、

スタンバイする。

ふと梨沙の横顔を見ると



凛としていて__
それでいて、梨沙じゃない気がした。


私の知らない、梨沙。

「ほな、行こか。」

そう言いステージへかけていく。

ゾクッ。
ステージに上がると、無意識にこう思った。

空気が違いすぎる。

私は、こんな真面目に頑張ってる中
アホみたいに悩んでたんだな。



「ベルが野獣の城に?ふん、ざまあみないわね。」

私はたった一言しかないその台詞を言う。
ああ、こう言えたらどれほど楽か。


嫌われる勇気さえあれば

嫌う勇気さえあれば

私はヒロインに対して
こんな黒い気持ちを抱くことは無かったのだろうか。


短い役を終えて、すぐに去る。

でも私の足は


重りが乗ったように重かった。


本物の野獣は

私なのかもしれない____。

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とーうえ れーと - 好きです。頑張ってください。 (1月22日 21時) (レス) id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
みどぅ(プロフ) - 待ってます。 (11月1日 23時) (レス) @page10 id: eaf6f0c936 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 面白かったです!!更新大変だと思いますが待ってます!!! (2022年12月25日 11時) (レス) id: e0ce628341 (このIDを非表示/違反報告)
このちゃ - むっちゃ面白かったです……ドロドロやなぁぁぁぁあ!!!!さいこうぅぅぅぅ!!!!! (2022年12月13日 21時) (レス) @page10 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - きたさんんんんん (2022年11月26日 21時) (レス) @page10 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆらゆな | 作成日時:2022年9月18日 7時

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