買い物 ページ46
つくし)ロシアってどんなとこかな!
つくしは開いていたガイドブックを一度閉じて、幸せそうな息を吐く。
杏奈)ロシアって言っても広いからなんとも言えませんけど、私達が行くカザニは古いお城なんかがある綺麗な街ですよ
つくし)そうなの?テンション上がる〜!買い物とかする時間あるかな!?
杏奈)さあどうでしょう
目を輝かせて距離を詰めてくるつくしに、杏奈は困り顔を見せつつも丁寧な言葉で返す。
子文)買い物、僕も付き合いますよ
つくし)子文君も行く?やっぱり〜
そんな2人の会話を、通路を挟んだ右側の席に座っていた子文が話の輪に入る。
するとつくしは肘掛に腕を乗せて嬉しそうに体をくねらせた。
A)何の話?
と、さらにそこへAがやってくる。
子文)Aさん!
つくし)今ね、ロシアで買い物しようって話してたの!…そうだっ!Aちゃんも行こうよ!しのちゃんも呼んでさ
「うん、そうしよう!」とAの返事を聞く前に、上機嫌に身体をゆらゆらと動かしているつくし。
そんなつくしにAは申し訳なさそうに体を縮こませ一言。
A)ごめんね…行きたいのは山々なんだけど私達といると大変というか……面倒事に巻き込まれると思う…
杏奈)面倒事…?
A)えぇっと……記者の人が訪ねてきたりとか…
つくし)記者の人…ってまさかパパラッチですかっ!?
被り物越しでも分かるAの挙動不審ぶりに思わず大声をだすつくし。
A)こっ、声大きいよ…!
Aのシーッ、というジェスチャーにつくしはハッとしたように口を手で抑える。
杏奈)そんな事あるんですか…?
いくらトップアイドルとはいえ、パパラッチという非日常的なワードに想像もつかない杏奈は目を瞬かせる。
A)あはは…うん、だから申し訳ないけど一緒に行くのは難しいかな…
当のAはいい思い出が無いのか。
俯き加減にどよん、とした空気を発している。
子文)そっ、そんな…!パパラッチなんかのせいで…っAさんと僕との時間がぁ…!
皆で買い物というていの話が、いつの間にかAとの2人っきりでという話にすり変わっていた子文。
悔しそうに拳を握りしめている子文に、若干呆れながらもAは紙袋を漁る。
A)一緒には行けないけど…はい、これ
つくし)さすがAちゃん!気が利く〜!
待ってました、と言わんばかりに両手を叩いてAからラッピング袋を受け取ったつくしは前席の背もたれから机を引き出して上に乗せた。
A)杏ちゃんも、はい
杏奈)ありがとございます、Aさん
ふっと柔らかく笑んでつくしを通してラッピング袋を受け取った杏奈。
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作者名：39 | 作成日時：2023年8月13日 17時
