二十三話 ページ23
「……………父さん？」
父さんの太股に頭を乗せたまま見上げると、赤い瞳とかち合った。
「ン？何だ？」
「いえ……難しい顔をしていたので…」
「む、そうか？」
何処と無く朝食前とは違うピリピリとした雰囲気を纏っている父さんに、難しい顔をしたいのはこちらなのだが。
「ええ……いや、杞憂かもしれませんけど。」
この人は勘が良い。本当に。
故に慎重に慎重に動かなければ危ないのだ。
殺されるかもしれない危険とこうやって甘く戯れている私の内心は冷や汗だらだら。と言うような感じだ。
この私、が失敗することなど"前例無い"のだが、今回ばかりはわからない。
しかし、このドキドキはどうも病み付きになりそうだ。
何と言うか、無言の攻防、駆け引き。
騙しあい？
………ギャンブルのようで楽しい。
「A。」
「…なんですか……？」
父さんからの返事はなく、ただただ静かに微笑みを浮かべながら、私の髪をすくのだ。
＊
静かに髪をすき続けていれば、Aはうとうとと船をこぎ始める。
この娘はまるで息を吐くように嘘をつく。
それが誰にとって一番有益か、と言うと、彼女自身であって、けしてAは"人のため"に嘘をつくことはないとわかった。
いつかの承太郎の件。
あれは承太郎を守るための嘘ではない。
最初こそ、友人を守るためだと思ったのだが、考えてみれば、この子の言動が、承太郎に影響を与えることは無かった。
つまり、己の保身の為だったと言うことだろう。
そう考えれば、"父さん"に向ける言葉の八割、否九割以上は嘘だと思って良いだろう。
まったく、抜け目のないヤツ。
しかし、こころからコイツが"誰かのため"に動くようなヤツでなくて良かったと思っている。
ジョースター一行に心を突き動かされ、情に流され敵対することとなったら、何と恐ろしかったことか。
とりあえず、このDIOの手の内にいる間は、この賭け、Aに勝つことは叶わん。
くしゃ、と金色の髪を掴むが、Aは既に、意識を夢の中へと落としていた。
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ルナ - 主人公は記憶喪失…？ってことになったんですかね…理解力が低くてすんませんっ！ (2017年3月3日 22時) (
レス) id: 8f93dbae6a (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 『DIO様が召された』というコメで吹きましたww…あ、別に悪意あるっていう話じゃないですから！(笑) (2016年10月12日 17時) (レス) id: b758c2dc1a (このIDを非表示/違反報告)
姉がうるさい - 完結おめでとうございます。4部をやる予定はありますか？ (2016年5月3日 13時) (レス) id: 120ae2f1ca (このIDを非表示/違反報告)
弥一(プロフ) - 前から気になっていて、今日初めて読んだんですが面白くて一部から完結まで一気に読んじゃいました。面白かったです！ハッピーエンドじゃ終わらない。それがまたいいですね。東雲出雲さんの書くDIO好きでした！！完結おめでとうございます！！ (2015年10月10日 2時) (レス) id: bb50ae3e3c (このIDを非表示/違反報告)
ソルジャードリーム - ああ！夢主ちゃん生きていてくれたっ！でも最後がなんともっ…最後になりましたが、完結おめでとうございます!!!これからも頑張ってください！ (2015年9月12日 23時) (レス) id: 5aa7608348 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲出雲 | 作成日時：2015年8月23日 23時
