十五話 ページ15
いつの間にか背中で眠ってしまっていたAを、僕の部屋のベッドまで連れてきて横にさせた。
父さんも、屋敷のみんなも忙しそうだったが、後で診て貰えば良いだろう。
とにかく今は眠ってもらいたい。
「……ごめん、ジョナサン、ありがとう…」
ベッドから聞こえた声に驚いてそちらを見ると、相変わらずの無表情で、しかし、ほんのりと顔を赤くしたAが、少しだけ辛そうにしていた。
「いや、良いんだけど、ここに来るまで気づかなかったのかい…?」
「ん……考え事をしていて…」
ぼんやりとした青い瞳は、僕を写しているわけでもなく、どこか、虚空を…恐らく彼女自身の思考の世界に向いているのだろう。
「昨日の夜から?」
「……ちょっとね…」
「知恵熱かなあ……」
「ん……」
ぴた、と、額に手を添えると、気持ちよさげに目を細める。
「なにか食べたいものとかある?」
「良いです……」
「水とかは?良い?」
「ん、良いです…」
「そっか。じゃあ……おやすみ。」
額に軽いキスを送ると、僕は彼女を起こしてしまわないように、部屋を出た。
「ごめん、ありがとうございます…」
小さく聞こえた声に、ふふ、と嬉しくて笑ってしまった。
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東雲出雲(プロフ) - 罠做さん» ありがとうございます!文章が素敵だなんて(*´ー`*)続編できましたので、そちらもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m (2015年8月18日 11時) (レス) id: 64e849f3b1 (このIDを非表示/違反報告)
東雲出雲(プロフ) - ランタンさん» ありがとうございます!続編ができたので、そちらもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m (2015年8月18日 11時) (レス) id: 64e849f3b1 (このIDを非表示/違反報告)
罠做(プロフ) - 続編楽しみにしてます!!文章が素敵で読み易かったです、続き気になりますねo(^▽^)o (2015年8月18日 2時) (レス) id: 1a112de355 (このIDを非表示/違反報告)
ランタン(プロフ) - この話とてもよかったです!続編も頑張ってください! (2015年8月17日 20時) (レス) id: 751d6d43a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2015年8月15日 11時