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彼はいない。
一昨日の夜から、彼が帰ってこないの。
どうして……。心配だわ。
とても痛いの。胸が、とても痛いの。
──コンコン
突如聞こえたノック。
あぁ、チャイムが壊れているからね。
誰かしら。彼がいないから、開けることは無理よ。
「____」
「____」
扉の向こうからは、話し声。
誰かと誰かが話しているから、複数だと思われる。
『……だれ?』
とても不安になる。
いやだよ。
強盗だったらどうしよう。
ねぇ、まだ私を待たせるの?
早く。早く、帰ってきて。
「____!」
「____!」
何を話しているのかは分からない。
でも、私が声を出したことに反応した……?
家の中に誰かがいるって……バレた?
──ガチャガチャ
ドアの鍵をこじ開けるような音が聞こえる。
『ど、どうしよう……!』
私は不安になり部屋に逃げ込む。
──……ガチャリ
とうとう、扉が開いてしまった。
大勢の人が狭い空間に押し寄せる。
私には恐怖心しかなかった。
「ここか……よし、徹底的に調べろ!」
調べる? 何を?
待ってあなたたちはだれ? 彼はどこ?
ベージュ色のコートを着た、年配のおじさん。
きっと、指導者的な何か。
他の人たちは青い帽子に青い服。
見たこともない物をいじっている。
この人たちは……
──ケイサツ……?
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