. ページ26
「ほんまにさ、今考えても衝撃過ぎるわ、はまちゃんとの初対面は」
「も〜、止めてや。俺かてびっくりしたんやで？」
少年はケラケラ笑いながら彼、はまちゃんの太ももを枕にして寝ころんだ。元々彼には名前などなかったが、少年は馴れ馴れしく『はまちゃん』と名前をつけてくれた。もちろん、名前より愛称と言えるものだが、彼にはそんなことは関係なかった。誰かに呼ばれることだけで心は充分満たされたから。
「大毅はさ、学校行かへんの？」
「……いらん。はまちゃんとおる」
少年、大毅はこの町に新しく建てられた大きい家の息子で、はまちゃんと桜の木はちょうどこの家の前庭で、一度切られそうになってたが、今より小さかった大毅が親に頼んで切られることは幸い避けた。はまちゃんのおかげで前際の木や花は枯れることや病虫害などにやられることもなく綺麗なままだった。たまに大毅の親から『この桜のおかげなんや』とか『あん時切らんくて良かった』など、嬉しいことを言ってくれる度、はまちゃんはとっても嬉しかった。
「はまちゃんは俺がおんの嫌なん？」
「ううん、ええけど…俺が見てきた子供たちは朝に行ってきま〜す言うて学校行ってたから。あ、時代も大分変ったから行かんくてもええの？」
「……最近はな、家でも勉強できるで？」
「ほぉ〜、そうなんや。ええ時代になったな」
はまちゃんは大毅の頭を撫でながら頷いた。だが、中々晴れない大毅の顔に心配になってきたはまちゃんは大毅の手をそっと握った。
「大毅？」
「なぁ、はまちゃん」
「うん」
大毅はもぞもぞと体を起こし、はまちゃんの前に跪いて座った。
「実はな…？学校行かなアカンけどさ…あんま行きたないねん」
「何で？」
「楽しくないから」
一瞬むすっとした顔をした大毅はそれ以上言いたくないのか俯いてしまった。はまちゃんはそんな彼が愛しくて、大毅の額に優しく口づけをした。
「え…？」
「学校が楽しくなります様に、俺から大毅へのお呪い」
「はまちゃ、」
「大毅はな、明るくて優しい子やからきっとええ友だちできると思うで？いや、絶対できる。せやから自分のこと、信じてみぃひん？」
にっこりと笑うはまちゃんの顔をしばらく見つめた大毅はえへへと照れくさそうに笑った。
「はまちゃんがそこまで言うんやったらやってみる」
自信満々と笑う大毅を見て、はまちゃんは何故か胸の奥が熱くなった。それが何の感情なのか、はまちゃんには知る由もなかった。
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しずく(プロフ) - さんごさん» コメありがとうございます！そしてリクエスト頂きました！実は、しずく本人がエイトさんに関してあんまり詳しくないんですが濱ちゃんが先輩たちに可愛がれる所はぜひ書きたいのでｗ←頑張ります！(>▽<) (2017年3月8日 20時) (
レス) id: 314b7862b6 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - すいかさん» コメありがとうございます！「さくら、さくら」は私個人的にも結構好きな話です>▽<頑張ります！(>ω<)！ (2017年3月8日 20時) (レス) id: 314b7862b6 (このIDを非表示/違反報告)
さんご - いつも楽しく読まさせていただいています！！ リクお願いします！エイトのメンバーに可愛がられる�陲舛磴鵑�みたいです！細かいシチュエーションなどはおまかせします。これからも更新頑張ってください！ (2017年3月8日 18時) (レス) id: 2b1265342e (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 桜の話が大好きで度々読み返しております。更新楽しみです！ (2017年3月8日 14時) (レス) id: bd8e1c38ff (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 紫苑さん» いえいえ、リクエストくださって本当にありがとうございます！ふわふわな濱ちゃん好きなんです(´艸｀*)これからも頑張ります！(>ω<)ゞ (2017年2月25日 23時) (レス) id: 314b7862b6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しずく | 作成日時：2017年2月4日 16時
