【派生】及ばぬ恋の滝登り4 (ページ24)

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生物準備室では色々と危ないだろうと判断した2人は､職員室にある休憩室に行くことにした｡愛猫家…特にアルヴァとアンに見つかれば質問攻め&陽一溺愛コースは免れないが､外で怪我をしたりするよりはマシだろう｡

ヘルに抱っこをされて気分が良いのか､陽一は喉を鳴らしながら目を細めている｡

｢もうすぐ着くからね〜｣とヘルが優しい言葉をかけると､休憩室で準備をする為､ルキノが先を歩き始めた｡

ガチャリと扉を開けて中に入ると､そこにはスヴェンガリとワフォンがいた｡勉強の相談をしていたのか､開かれたノートや教科書などが置いてある｡

スヴェンガリ｢…やぁ､猫なんか連れてどうしたんだい?｣

相変わらずどこか疲れたような笑みを浮かべながら､2人の方を見る｡

ワフォン｢こんにちは〜ヘルおねえちゃん先生にルキノおにいさん先生に…にゃんちゃん〜｣

こちらもいつも通りの幼い口調で挨拶をし､毛並みの美しい猫に笑いかける｡

ルキノ｢まぁ､このことには色々と事情があるんだ｡話せば長いが｣

スヴェンガリ｢そう…とりあえずお茶でも淹れるよ｣

ジュースのお代わりをせがむワフォンの頭を撫でながら立ち上がると､スヴェンガリは慣れた様子で準備を始めた｡

〜数分後〜

ヘル｢…というわけなの｣

ワフォン｢じゃあ､このにゃんちゃんは桃寺おねえちゃんってこと〜?｣

話を聞き終えると､グルグルと喉を鳴らしながらスヴェンガリの膝上でリラックスする白猫を見ながらそう問いかける｡

ルキノ｢そういうことになるな｡あの邪神のことだから､飽きれば戻ると思うんだが…｣

ヘル｢でも､だからって桃ちゃんとこのまま帰るわけにはいかないでしょ?｣

スヴェンガリ｢…いや､意外と何とかなるかもしれないよ｣

心配そうにする2人に対して､スヴェンガリは余裕そうな笑みで返す｡

ワフォン｢どういうこと〜?｣

スヴェンガリ｢仮に陽一が猫にされても､それはただ見た目が変わっただけで､彼女が私の愛娘であることには変わりないからだよ｣

そう言って愛おしそうに陽一の頭を撫でると､気持ち良さそうにふわふわの腹をゴロンと見せた｡

スヴェンガリ｢…ほらね?この子の中身は全く変わらないだろう?｣

クスッと笑いながらそう言うと､触り心地の良さそうな陽一の腹を優しく撫でた｡

陽一｢ﾝﾐｬ～‥｣

幸せそうな声を上げた陽一の姿こそ､スヴェンガリの言葉の真意なのだろう｡その場にいた者は皆､彼の父親としての無償の愛を感じ取ったのだった｡