14歳 ページ15
「きゃ〜っ!かぜがびゅんびゅ〜んっ!」
無事に湯船に浸かることもでき、やっと服を着せることもできた。
そうして今はドライヤーで髪を乾かしているところだ。
木舌は楽しそうに風を感じているAを見て、少し微笑む。
「こんどは風さんとこんにちはかな?」
「かぜさん!かぜさん、つよいね!びゅんびゅん、はやいや!」
ドライヤーの風にも挨拶をしたところで、Aは飛行機の真似をしながら風と会話を試みた。
もちろん、風に見立てた木舌と、である。
「かぜさん、かぜさんはごくそつ、すき?」
「大好きだよ!でもね、君の方がすき!」
「ほんと〜!?ぼくもね、ぼくもね、かぜさん、すき!……あ、ごくそつさん、あのね!」
ふと、Aが「風」ではなく「木舌」に話を振った。
あえて名前ではなく獄卒と呼んだのは、なんとなくの雰囲気なのだろう。
「どうしたんだい、A?」
「あのね、あのね、きょうね!田噛にいがね、ぎんきらさんのつかいかた、おしえてくれたの!」
そういってスプーンで何かを掬う真似をするA。
先ほど目にした、田噛がAにオムライスを食べさせていたときのことだろう。
「ああ、そうなのかい?田噛のおにいさん、怖くない?」
いたずら半分でそう聞いてみる。
酷評だったら、田噛に言ってやろう。
……いや、だがそんなことしたら一乙どころでは済まされないな、と思いながら返事を待っていると、「ううん!」と首を横に振られた。
「田噛にいね、あのね、やさしかったよ!でもね、ごはんのプレートはね、ぼくがじぶんでかえしたかった!」
ぷりぷりと文句をいいだすところからみて、きっとプレートを田噛に返されてしまったのだろう。
その仕草すら可愛いと思えてしまうから、子供とは不思議な生き物である、と木舌は思う。
「ははは、そうしたら田噛よりも大きくなって、田噛のお盆をAが返してやったらどうだい?」
「うん!ぼく、田噛にいよりもぜったいおっきくなる!」
その言葉を聞きながら、ドライヤーのスイッチを切る。
肩のほんの少し上で綺麗に切り揃えられた髪を櫛で梳かせば、するすると滑らかに通っていった。
ついでに眉毛の少し下で切りそろえられ、左目の方へ流してあった前髪も梳かす。
「……よし、おわり!さてさて、寝ましょうか」
ドライヤーを片付け、ベッドへ寝かせる。
疲れていたのか、Aは直ぐに寝入っていった。
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ファーストMe - とても面白かったです!!続き待ってます!(о´∀`о) (2018年9月27日 22時) (レス) id: d48a818a0f (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ - めっっっちゃ面白いです!!はやく谷裂との絡みが見てみたいです!更新待ってます!頑張ってください! (2018年7月7日 0時) (レス) id: 80941d4d5d (このIDを非表示/違反報告)
真顔の天使 - 面白かったです。獄卒達(特に斬島)の反応が可愛いかったです!!早く続きよろしくお願いします。 (2018年3月4日 14時) (レス) id: 34e63f959e (このIDを非表示/違反報告)
クスクス - 面白かったです。 (2018年2月20日 21時) (レス) id: 364e94a966 (このIDを非表示/違反報告)
ラル(プロフ) - すっごい面白いです!続きが気になります!ちびっこを見た獄卒達の反応が可愛くてもう、最高です! (2016年8月8日 5時) (レス) id: d7cba9107c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2016年1月30日 21時