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42.「本当は要らない存在」 ページ44

「……っ、喜んで。邪魔者が消えて、清正するでしょう。」


荷物を持って、障子を勢いよく閉める。

誰の顔も、見たくはなかった。



『………一松の、ばか。』




あの猫が、未だ私の心を読み取っていただなんて、知る由もなく。









「…あ、A!………どうしたんだ、何かあったのか?」




「………カラ松は、」



カラ松は、私のことが嫌い?


その言葉は発される前に、乾いた呼吸として外界へと放り出された。


「……、A、A?」




ひゅー、ひゅー。



そんな音が、気管支から、口から、私から聞こえてくる。



「…っは、大丈夫。………先、お会計済ませちゃおうか。」



水分不足か緊張かで、カタカタと手が震えた。



ただ、一松が怖くて仕方がなかった。








「……、そんなことが」


「………馬鹿だよね」




カラ松は複雑そうな顔をしていた。



何でかはよくわからないけれど。





「……、一松。……あいつは最初、誰よりもお前のことを気にかけていたんだよ。『Aだけ仲間外れみたいで嫌だ』『他の何よりも家族のことを大切にしたい』っていいながら、いつも紙切れと鉛筆や漫画をもってAのところへ行ってた。」



ぽつり、ぽつりと私の前に明かされていく一松の本当の姿。


もしかしたら、夢に出てきた紫の兄というのは。



「……それを見た十四松も感化されて、Aの世話を焼くようになったよなあ。……ああでも、一番喜んでいたのはトド松か。『僕がお兄ちゃんだよっ!』って言って、手遊びとかしてたな。」



「…ねぇ、カラ松。」



まるで私に読み聞かせをするかのように話を続けていたカラ松と、それをずっと聞いていた私。


それにそっと終止符を打つと、抗議の声ひとつ無しにカラ松が私の方を向いた。




そうして、私はぽつりと声を紡いだのだった。









「もし私がいなくなったら、一松はどう思うのかな」



冬の寒さを纏った冷風が、私とカラ松を貫いた。


少しずつ、また少しずつと、何かが迫ってくるかのような気配が、そこにはあった。

次巻予告へ、アテンション→←41.「今だ、飛び込め。」



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設定タグ:おそ松さん , シリアス
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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時

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