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40.「失礼します」 ページ41

はっと、意識がはっきりと現実へ戻されていく感覚があった。


どれくらい寝ていたんだろう。


隣でスマフォが鳴っていた。


「カラ松?終わった?」


「ああ、あとは会計するだけだ。保険がきいて2700円らしい。」


「わかった、お金持ってそっち向かうね。…じゃあ。」






気がつけば1時をとうに過ぎていた。


お昼ご飯を食べ損なってしまったせいでお腹が空きすぎて辛い。


ふと、道具箱を返さなければならなかったことに今更になって気がついた。


「……とどまつ、」


隣の部屋の襖をあけ、小さく呟くようにして名前を呼んだ。

しかし、部屋は薄暗く誰もいない。



そうなると、まだ居間にいるのだろうか。



兄たちが普段どこにいるかだなんてたかが知れている。

自室か、居間か、銭湯か、外。


この時間から銭湯に行くとは思えないし、先ほどまで居間にいたので、きっと外か居間だ。


お金は居間にあるわけだし、丁度いいな。


半ば覚束無い足取りで、階段をゆっくりと降りた。





居間から、知らない人の声がする。


いや、聞いたことはある。聞き覚えのある声なのだが、どこで聞いたのか、それが思い出せないのだ。




お客いらしているのならばお茶を用意しなければならない。


気付かれないようにゆっくりと、そっと襖を開けて中を除き見る。

まだお茶は出されていないようだ。



廊下の隅に道具箱を置き、静かに台所へ移動しお茶を用意する。


そして障子をあけて、行儀正しく入室し、お茶を置いていく。



そして、盆をもったまま箪笥の方へ向かった。


そこから財布を取り出してそのまま小さい鞄へ入れた。




「………どっか出かけるのー?A!」



十四松の声がした。



それだけでかなり安心する。




「……カラ松のお迎え。」




『十四松がいると安心するなあ。』



足元から声がした。


何かと思い下を見ると、愛らしい猫がこちらを見ていた。


『なんだこの猫。めちゃくちゃ可愛い触りたい』


なんで人間の言葉を話すの?


『こわい』


「えっ?」


『なんでみんな、要らないって言うの。私の努力も知らないくせに、みんなは私の何を知っているの?』


「っ、A…?」


『私を家族に混ぜてよ、仲間外れは嫌だよ。ねぇ、もっとちゃんと勉強するから、いい子になるから、要られる子になるから、私を許して認めて必要として。』


「……やめて、」


『仲直りしたい、仲良くなりたい』

「やめて!!!」

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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時

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