36.「どんな夜もまた日は昇る」 ページ37
目覚まし時計が朝を告げる時間となった。
あくびをぐっと嚙み殺して隣を見遣ると、ベッドの上でカラ松が安らかに、幸せそうに眠っていた。
起こさないように布団から出て、静かに戸を開けて部屋を後にした。
冬の朝の廊下はひどく冷え込む。
特に料理を作っている時なんかは、足が凍えて辛い。
……下品ではあるが、本当に毎日尿意を我慢しながら必死で調理をしているようなものだ。
これを何年もやってのけてきたお母さんは本当に尊敬に値すると思う。
「……朝ごはん、作んなきゃ…。……、たまにはお吸い物とかいいかも。……あとは焼き鮭とか……。これでいっか、楽でいいね。」
そんな独り言を呟きながらせっせと朝食を作っていく。
「……よし、あとはカラ松を起こすだけ…。」
朝食を作り終え、病院の予約を済ませた。
あとはカラ松を起こしてご飯を食べて支度をすればいい。
寒い廊下の冷たい階段をゆっくりと上っていく。
昔は冬でも構わずドタバタと駆け上がったり下りたりしていたのだが、流石にもう体にはそんなことをやってのけるだけの元気はないらしい。
「カラ松、起きて。」
さっきとは打って変わり、勢いよく戸を開けた。
だが、一向に起きる気配はない。
「カラ松、カラ松?カラ松さん!起きろ、起きろって!!カラ松が好きな(好物何一つ知らないけど)塩鮭とお吸い物だよ!?ほら、早く起きないと鬼松たちと朝ごはん食べることになりますよ、あんちゃん!!」
鬼松というと、少しだけぐっと身じろいだ。
まだ昨日のことを引きずっているようだ。
「……起きる…ちょっと待ってェ……」
「はい!はいはい!!あと10分!10分で鬼松たち起きるかもよ!!」
「ん〜……。」
駄目だ、完全に起きそうにない。
カラ松は低血圧なのか、それとも寝不足なのか。
「……よかろう。3分だ。3分だけ待ってやる!!………、……ねぇ!!本当に起きよう?!!私どっちかっていうとボケ苦手なの!!!わかる?!」
「うるさい……今起きるから…」
暫くしてむくりと起き上がったカラ松。
目の下には、綺麗に隈ができていた。
「おはようカラ松、さっとご飯食べて病院行くよ。予約はしてあるからさ。」
私がそう言って階段をさっさと下りると、後ろからゆっくりとよたよたとした足取りで私のあとを追うカラ松の姿があった。
2728人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時