35.「お涙頂戴」 ページ36
「……小さい頃から喧嘩っ早くて我が儘だったんだ、俺。だから少しでも優しくなりたいって思って、どんなにひどい扱いされても、気にしてないフリをしようって……」
自分を犠牲にしてでも、相手を大切に想う。
それは昔のカラ松からは想像もつかない一面だった。
「……、そう思えるだけでもう十分だよ、優しすぎるよカラ松。……私にちゃんと謝ってくれたし、許してくれたし、こうして話してくれるしさ。……でも少しは自己主張しないと、また鬼松たちが湧いてくるよ？」
「ゔっ…。それも、そうだね。……でも、今更素の自分でいるのもなんだか…。」
やっぱり、カラ松のあのキャラは演じているものだったのか。
いや、逆にアレが素だったらと考えるとかなり怖い。
「……カラ松は優しくて強い人を演じてるってこと？素と真逆じゃん。」
「そ、それは言わないで……ほんとお願いしますから……。」
か弱そうな声の方が、カラ松にはお似合いだ。
あんなカッコつけたような声色より、ずっとずっと優しく聞こえるよ。
決して強そうには聞こえないけど。
「でも、気持ちはなんとなく分かるよ。私だって所詮『いい子』のフリしてるだけだし。」
私がそういうと、カラ松は驚いたように えっ、と声を漏らした。
悪い子だ、とでも言いたいのだろうか。
「……A、今までずっと本気でいい子なんだと思ってた…」
「っ、え？何、急に。」
本気でいい子？
こんな奴のどこがいい子だと言うんだ。
「だって、毎日朝早くに起きて家族みんなの分のご飯を作って、バイトがある日は前もって早くに家を出ているだろ？洗い物も掃除も洗濯も、家事全般を手伝ってるじゃないか。…こんな奴のどこを悪い子だと言うんだ？」
そう言われながら優しそうな笑顔で微笑むなよ、嬉しくて照れるだろ。
「……、それもそうだね。というか何で知ってるの？」
「ん？…ああ、早くにトイレ行った時とか、たまに見るからな。あとは十四松から聞いた。」
十四松とカラ松には優しさと周りを見る気遣いがあるのか。
なんだか、カラ松と十四松は似ている。
心からそう思えた。
「…はは、Aと話したら安心した！…これでゆっくり眠れそうだ。」
その言葉とともにあくび一つと布団を動かす音が聞こえてきた。
カラ松もそれなりに緊張していたのだろう。
ほぐせてよかった。
「そっか。……じゃ、おやすみカラ松。」
「ああ。おやすみ、A。」
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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (
レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE！(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……！……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ！！ (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE！(心々) - なんでこんなに文才があるのですか？？これは絶対ず〜っと！過去最高1位ですねっ！！(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ！(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竹ノ狐。 | 作成日時：2015年11月26日 1時
