27.「やっぱり同じ六つ子さ」 ページ29
「家族は大事にしなさい」
「兄弟は一生お世話になる人なんだから、大切にしてあげなさい」
昔、とっくの昔。
僕たちは全員、大人たちにそう言われて育ってきた。
もちろん、Aも。
だから、僕は誰よりも家族を大事にしていた。
だれよりも、Aを大切な存在だとしていた。
だから、みんながAを仲間外れにしようって提案した時は気が狂うかとすら思った。
今まで誰よりも大切にしていたAをぞんざいにするなんて気が引けて、僕は止めたんだ。
Aを大切にしなくなったら、僕は他に何を大切にすればいい？
おそ松兄さんたちだって大切だ。大好きな兄弟。
でも、違うんだ。Aは特別な存在で、僕の中じゃあ、おそ松兄さんたちとは全く違う何かだったんだ。
「……やっぱり止めてあげない？一応妹なんだし。」
控えめに僕は静止したんだ。
元から叫び散らすのが得意じゃなかったから、僕なりにちゃんとした意志を持って、否定したんだ。
「何だよ一松、母さんに怒られるのが怖いのか？」
でも十四松以外のみんなが、口々に否定した。
僕の意志を、僕を、Aを。
おそ松兄さんに何て言われたかなんてもう覚えてない。
でも、そこで僕の意志は隠れてしまったんだ。
だから、あんなことできたんだ。
結局、僕はそれでも気が引けて、ただ何もできなかった。
母さんの目をこちらに向けさせることも、Aに同情することも、この場から逃げ出すことも、止めることも。
家族以外を大切にしたことなんてなかったから、友達だってできなかった。
Aをぞんざいに扱っている自分が嫌いだった。
本当のことが言えなくなった自分が嫌だった。
そうして、どんどん気持ちは罪悪感で沈んでいって、言いたいことも素直に言えないゴミと化していった。
「話すだけ無駄だって、諦めてたんでしょう。私と同じこと思ってただなんて。」
失望しきった顔、泣き出しそうな声。
あの時と同じだった。
その言葉は僕の心へ突き刺さって、昔から感じてきていた罪悪感が溢れ出てきた。
ああ、本当は早く謝って誰よりも大切にしてあげたいのになあ。
僕はこのままでいるのが耐えられなくなって、おそ松兄さんになった。
そうすればAと話せるかなって。
でも、おそ松と呼ばれるたびに、どんどん虚しくなって、これじゃないって思った。
ちゃんと、「松野一松」として、謝らないと。
そうしないと、僕はAと仲良くできない。
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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (
レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE！(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……！……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ！！ (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE！(心々) - なんでこんなに文才があるのですか？？これは絶対ず〜っと！過去最高1位ですねっ！！(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ！(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竹ノ狐。 | 作成日時：2015年11月26日 1時
