15.「大人になりきれない」 ページ17
「っ、そ、そんなこといっちゃダメだよ一松兄さん！！十四松兄さんも、真に受けちゃダメだよ。あのさ、一松兄さんは反省してないわけ？！」
トド松が怒りに任せて怒鳴る。
普段は温厚であまり叫ばないはずのトド松が、だ。
私、また何か悪いことしたのかも。
私が何かしたから、兄弟喧嘩が起きてるのかもしれない。
「……別に何も。だって無駄じゃん、あいつと距離縮めるとか。ってか、ろくに会いもしないヤツ相手に何必死になってんの？ほんっとアホらし。」
怒鳴られた一松も止まるはずなく、気力のない声を少しだけ張り上げて、必死に抗議する。
あの時吐き捨てられたときと同じ、あの声で。
思い出すだけで吐き気がする。ろくに洗い物だって進まない。
もう、このまま後はお母さんに任せてしまおうか。
そうして、もう部屋に帰って寝てしまおうか。
まだそんな時間ではないけど、ここにいるのはかなり辛い。
「だからといって反省しなくてもいいって訳じゃない！！」
「…反省しなきゃいけないって訳でもないでしょ。いいじゃん別に、どうだって……、…？！」
部屋に戻ろうとしたのだろう、一松が階段側の襖から出てきた。
それで、階段を上ろうとしたのだろうが、階段を上るには台所の近くを通らないといけない。
つまり一松は、台所にいたのはお母さんではなく、本当は私だったということに気が付いてしまったのだ。
「……、A…なんで…、洗い物は母さんが…」
「……、そっか、」
「一松、やっぱり私のこと邪魔だと思ってたんだ。……話すだけ無駄だって、諦めてたんでしょう。……私と、全く一緒のこと思ってただなんて。」
手に持っていたスポンジを元あった場所に置き、流しっぱなしだった温水を止める。
食器がまだ全然残ってるけど、今は洗い物をする気分でも、この家にいる気分でもない。
「っ、あ、Aッ！！待っ……！……っ、チッ。」
一松を避けて、玄関へはしる。
そうして足早にたまたま近くに出してあった夏用のゴム製サンダルを履いて、乱暴に引き戸を開けた。
「！！A、待って！！」
トド松の叫び声が聞こえる。
さっきとはまた違った、悲痛で必死そうな声。
またみんなに悪いことしたな、本当に私は悪い子で、この世に要らない子だ。
そんなことを頭の片隅で考えながら、ただひたすらに夜の街を走った。
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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (
レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE！(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……！……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ！！ (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE！(心々) - なんでこんなに文才があるのですか？？これは絶対ず〜っと！過去最高1位ですねっ！！(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ！(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竹ノ狐。 | 作成日時：2015年11月26日 1時
