出来損ない。【文スト】 (ページ1)

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pro.同価値以下の襤褸雑巾ページ1

pro.同価値以下のぼろ雑巾

廊下に水を、ぶちまけた。

ただでさえ生きづらいこの世界で、失敗を犯すという大罪。
失敗の許されない世界で、失敗をしたのは何度目だろうか。

また、殴られる。

殴られて、蹴られて、きっとそれで捨てられる。

いままで捨てられなかったのは、きっと私が水を吸える雑巾だったからだ。

水が吸えなくなった雑巾は、「ボロ雑巾」として扱われ、臭いと罵られ捨てられていく。

今の私はもう、水を吸う余裕なんてどこにもない。

私はもう、溢れるほどに水を吸った。

そうしてなんども吐かされて、また吸わされて、汚い汚泥と一緒にされた。

……もう、無理だ。

きっと捨てられる。

そう覚悟し、なんとかして逃げ出したのはいい。

そうして運良く拾われたのもよかった。

運良く試験も合格した。

事務員として、働くことを許可された。

私の居場所はここにある、と錯覚したかった。

……だのに、私の脳と体は出来損ないだ。

誰にだってできることで、すぐ失敗するのだ。

最初こそ許してもらえたが、もうきっとダメなのだ。

そうして、ここでも私はボロ雑巾になってゆくのだ。

……いや、私がボロ雑巾を名乗ることすら、ボロ雑巾に申し訳ない。

_________私は、ボロ雑巾以下だ。