4.「虎と鶚」 ページ5
僕は、何故ここへ連れてこられたのだろう。
僕___、Aに残された微かな「正気」で、考える。
僕にはもう、九分は狂気に塗れてしまっているようだった。
闇に堕ちてしまうのも、時間の問題だろう。
先刻までここの住人であろう二人が話し込んでいて、全く考えるに考えられなかったが僕についての情報が手に入ったのでそれはそれで良しとしよう。
僕はたしか、主と一緒に居たはずだ。
その主は、誰かに連れていかれてしまった。
そうして、主のいなくなったぼくを、だれかが引き取った。
嗚呼、つまりはすてられたのか。
主は優しかった。
突然顕現された僕に親切にしてもらい、愛してくれた。
僕はどうやら、昔から人には好かれるようで。
刀からは一向に愛されなかったが、それもそのはずだ、と独りで解決する。
最愛なる主を奪っていった者にかけるべき慈悲なんて、ない。
だがしかし、そんな奴にも罰は当たるものだ。
こうして主に捨てられ、狂気に支配され。
今みたいに、ちゃんとした考えをすることだってできる。
だけれど、それもすこしずつ消えてきているのも事実だ。
そうなったら、ぼくは折られるのだろうか。
ああ、いっそ そうしてほしい。
そうして、あるじさま を まちつづけたい。
______ああ、ここはどこだろう。
あるじさま は どこにいるのだろう。
______僕は はっとして頭を横に振り、いつの間にか外されていた布を目に巻き、体を起こして人気を待った。
すぐ近くに、ひとがいる。
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名無し - これを書いてないで、おそ松さんのを更新してください。お願いします。ほんとに楽しみなんです。お願いします。 (2019年10月12日 17時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2016年7月4日 0時