■55.君の誘惑を過剰摂取 ページ15
***
Naoki Side
俺に抱きついたまま眠ってしまったA。
復讐や人を利用することしか頭に無かった毎日の中で、
彼女といる時は唯一心が休まる時間であり、
自分が一番人間らしい時間であると思う。
.
このまま彼女を抱きしめて、
自分も一緒に眠ってしまおうか。
.
甘く香る彼女の香り
ｽｳｽｩと響く小さな寝息
ぎゅ、と抱きついてくる細い腕
うっすら上気した桜色の頬に映える紅い唇
今もその全てが誘惑にしか思えなくて、
これ以上手を出さないようにするのに必死だ。
.
触れれば止められる自信がない。
でも彼女の姿を見る度に、触れたいと思ってしまう。
一度強く抱き締めれば
そんな飢えも和らぐかと思ったのに、
…むしろその逆、
渇きに拍車がかかったような気がする。
自分は理性の塊だと思っていたのに
こんなに簡単にｸﾞﾗｸﾞﾗと
揺れ動くものだなんて知らなかった。
.
.
やっぱり今日は一緒に寝るのはやめよう。
眠っている彼女を横抱きにして、
ゆっくりと静かに彼女のベットに下ろす。
.
直輝｢……おやすみ、｣
そう一言声をかけて、肩まで布団をかけてやる。
彼女の頬を指先で触れると、やはりいつもより少し熱くて、
アルコールの余韻を感じる。
俺の指が冷たくて気持ちいいのか、
ご機嫌に頬を擦り寄せてくるA。
…だから厄介なんだよなぁ、Aが酔うと。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年2月14日 23時
