□53.夢心地 ページ13
***
ぎゅっと強く抱きしめられながら、
ふわふわ頭を撫でられる。
直輝は頭を撫でるのが癖らしくよく撫でられるのだが、
あまりの心地良さに瞼が更に重たくなる。
.
｢…頭撫でないで。｣
直輝｢いや？｣
｢……眠たくなるから…、やだ…。｣
直輝｢なにそれ、笑｣
.
寝たら直輝との時間が減っちゃってもったいないから。
…なんて言ったらどんな顔するんだろう。
でも少しとはいえアルコールも入っているわけで、
やはり眠気には抗えない。
今にも眠ってしまいそうだ。
.
.
｢……最近、…危ないことしてない…？｣
直輝｢…うーん、多分？｣
｢……しないでね…｣
直輝｢…確証はできないけど善処する。｣
.
…そこは確証してよ。
私の知らないところで、
私の手の届かない領域で、
直輝の身に何か危険があったらと思うと気が気じゃない。
君になんかあったら、
私はどうやって生きていいのかすら分からないのに。
.
直輝｢…そんな顔しないで、笑｣
｢…悪い奴らに捕まったらどうするの…｣
直輝｢俺がそんな簡単にやられないこと、
Aなら知ってるでしょ？｣
｢…知ってる…けど……、｣
.
直輝｢…Aがここで待っててくれる限り、
俺は自分の命を軽く考えたりはしないよ。｣
.
だから安心して、と言うように、
抱きしめられている腕にぎゅっと更に力が込められた。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年2月14日 23時
