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品格 ページ10

hazuki side

「桃空…様」




母は言っていた。
目の前にいる、4歳ほど年下の男の子は

私より幾分も身分の高い

この国の王子様だ、と。



恋なんかしてはいけない存在なの、と。
_____


10歳になって2つか3度目の夏を迎えた日。

王とその王子に仕えていた母の娘である私は

見習の侍女として、王子の遊び相手として受け入れられた。



「……その呼び方」

彼に初めて会った日、私が「桃空様」と呼ぶと

真っ先にそう言われたのを覚えている。



私は顔を真っ赤にして「失礼しました」と頭を下げる。


「…慧実でいい」

___その名前、あんまり好きじゃないから。



まだ小学生なのに。

オーラというか…品格が備わった王子だと悟った。


国王譲りであろうその整った顔立ちの作り出す表情はどこか寂しげで、儚かった。



「慧実 様…?」

恐る恐るそう呼ぶと、彼は小さく頷いて。


「…名前は?」
初めてちゃんと私の目を見つめて、そう仰った。

___胸の鼓動が早くなるのを感じた。


「…砂金(すながね) 遥月(はづき)です」


「…はづ、き?」

子供らしい字でその場にあった紙に「はづき」と書く殿下の姿が今も忘れられない。



_____

それから


母は私が高校を出る頃には仕事を辞め

宮廷に私を残していなくなってしまった。



母がそれからどうしているのか、何処にいるのか

…生きているのかさえも、私には聞かされなかった。




所詮その程度の存在だったんだろう。

少しずつ、働く自分と母の姿が重なり

気づけばもう 記憶の中の母の顔はぼやけた女性像でしか無かった。

100%の恋→←水晶玉



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作品ジャンル:恋愛
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あぽろだよ。 - ほんとにすみません。ブラコンが揺れていた。に見えました。すみません。 (2020年4月23日 17時) (レス) id: b5c026bc9f (このIDを非表示/違反報告)
りぃず(プロフ) - ありがとうございます、、!暗くなったり明るくなったり色々忙しい小説ですが、応援して頂けると嬉しいです…! (2019年6月24日 7時) (レス) id: 7803f93653 (このIDを非表示/違反報告)
つくし(プロフ) - 実は作られたときから、ずっと好きで読んでました…。これからも更新頑張ってください!応援してます! (2019年6月23日 13時) (レス) id: ad001c401a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りぃず | 作成日時:2018年12月31日 12時

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