桜が2輪 ページ3
私は朝方
楼主に呼ばれた
楼「鈴音、お前のお相手は
百地大臣
お前も何度かお酌をしているだろう?」
貴「はい」
楼「なんとも高額でお前を買ってくださった
50万だ
水揚げまでお前は接客をするな
そして、水揚げも無事に終わり
お前の年が相応になれば
花魁にしようと案も出ている
もし、大臣様がお前を気に入ってくだされ
ば身請けも考えられる
この縁を切らないように」
貴「はい、楼主様」
50万
そんな値段で、私は女を迎えるのか
それに………花魁
ねえ………
はあ……………
何ならいっそ
死んでしまおうか
そんな考えにふけっていると
外から大きな声がする
ここは、うちの門が見えるから
外の声はよく届く
「頼む!!一人娘なんだ!!!
陽子を………陽子を返してくれ!!
10年も待った!!
返してくれ!!」
毎日聴こえるこの声
下働き達が追い返しても、必ず来る
昨日の問で分かった
この男は姉さんの父親だ
どこかから情報をかき集めて来たのだろう
10年前というのは姉さんがここに来た時
その時に連れて来られたのは遊女は姉さんだけだった
この事は姉さんは知らない
楼主が姉さんは決して門に近づくなと言っているから
姉さんが足抜けをしないように、父親が会いに来ていることも伝えない
まるで監獄だ
私も姉さんに伝えない
伝えれば私が罰を受けるから
姉さんのためとはいえ、そこまでの覚悟は無い
私は背を向けて、姉さんの部屋に戻った
私の水揚げまで、あと1ヶ月
そんな時、楼主が慌てて走って来た
楼「鈴音!!鈴音!!」
貴「!?楼主様!?」
楼「鈴音!!今すぐにすみれの座敷に行け!」
座敷に行け
それは接客をしろという事
貴「はい!?私は水揚げまで……」
楼「偉いお方が急に来たんだ!!
花魁はほとんど別の座敷に行っている
鈴音、このお方達は決して怒らせるな」
この動揺
なるほど、違法がバレては行けない相手ということか
まあ、いい
退屈していた所だ
久しぶりに狐になろうじゃないか
貴「鈴音でありんす
どうぞよしなに」
私が顔を上げて、笑みを浮かべれば
男達は一瞬喋る事を忘れて
顔を赤らめる
何だ………余裕だな
つまらない
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作者名:花みたいに | 作成日時:2019年5月18日 16時