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1冊目 ページ1

私は人生で1度も感動したことが無い。
小説や映画、漫画、音楽 あらゆるものを見て聞いたが感動したことが無い。
いや、感動するという事がわからないのだ。
どんなに感動すると言われてる映画でも涙を流したことは無い。

私の写真を見れば誰もがつまらなさそうな顔をしているというだろう。
なんと例えればいいだろうか。仏像?人形?
兎に角、何もない顔をしているのだ。人々はそれを無表情という。

私は短気な女に生まれた。昔からそうだった。気に食わない事があればすぐに怒っていた。
嫌いなものがあれば怒る。面倒臭い女だった。
私には9歳上の兄がいた。そいつは自動車と占いが好きだった。
一時期よくわからない石を集めていた。
母は専業主婦で前は研究者だったらしい。父は学校で生徒達に教えていた。
私の地位は普通の人でいうところのちょっとしたお嬢様らしい。
そんな自覚はなかった。お嬢様というほどの性格ではなかった。
私は両親が嫌いだった。親族が苦手だった。

親に感謝しなさいと言われても、あーそうですか できっと終わる。
別に飯をくれと言ったことも無いし、世話をしてくれとも言っていない。
恩着せがましい事を言うのであればそこらへんに捨てられる方がマシだ。
でも、きっとまわりが面倒臭いから捨てないのだろう。

私は小さい頃からずっと思ってきた。

私にはきっと何かが欠けているのだ。
人間として。

信用?感情?

わからない。

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作者名:帽子屋の太宰徹@伊達あいりん | 作成日時:2017年10月4日 19時

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