□17.Chain-前- ページ17
***
＿＿＿＿＿＿一人になると、
つい昔のことを思い出してしまう。
私は小さい頃に父が病気で亡くなり、
しばらく母親と二人で生活していた。
母はとても優しくて
いつも私を寂しがらせないように務めてくれた。
裕福ではないけど、平穏で幸せな生活。
そんな平穏な日々が壊れ始めたのは、
私が高校に入ってすぐだった。
.
母に恋人が出来た。
母よりも一回りも若い年下の男。
…その男が一緒に住むようになってから、
私の人生は一変した。
私はその男から歪んだ愛情を注がれていた。
奴の目的は母ではなく私だったのだ。
日中働いているわけでもなく、
ずっと家にいて、母がいない間はずっと私に付きまとってきた。
家に帰ると、部屋が荒らされていたこともあったし、
風呂場にいきなり入ってきたこともあった。
何度無理やり触られたか分からない。
抵抗すればお前の母親がどうなるか分かっているのか
と脅されて、何も言えなくなった。
.
母のために我慢していた。
私を産んで、育ててくれた大好きな母のために。
…それなのに、
.
“…Aが色目つかったから悪いのよ”
“お前さえいなければ…、”
.
母が選んだのは、
私ではなくあの男だった。
.
学校でもその男の存在はすぐに噂になっていて、
多少はいた友達も一瞬で失った。
.
家でも学校でも居場所がなくて、
誰も私を分かってくれない。
そんは人生のどん底にいた私を
見つけ出して救ってくれたのは、
＿＿＿＿＿＿＿＿＿“君も僕と一緒だね”
直輝だった。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年1月21日 0時
