31 本編�� ページ34
万治3年1月11日
「凍蚓よ そこに居るのだろう」
『……はい』
密偵役の筈が、またバレてしまった
隠れていた岩陰から姿を現す。
本当はいけないことだとわかっているけど。
こうしてお話するのは何度目だろうか。
「さて単刀直入に問おうか
お主等、この10日間儂を見張っておったな？
何が目的じゃ
儂の狙いを知っておるのか？」
『それは…』
確かに当初阻止するべき目的はソレだった。
‘将軍の暗殺’。
江戸へ向かう実季様軍の侵攻を、たった一度食い停めれば良いハズだったのだ。
「なぁに警戒船でも良い」
『……』
「儂は今、狙いを話せる程の力は持っておらんからなぁ
なんせ、頼りにしていた手練の者は皆お主らに倒されてしまったからな」
実季様はガッハッハと豪快に笑う。
だけど、僕は笑えなかった。
例えもう実季様にその気がなかったとしても、歴史は動き始めた。
僕達は実季様と戦わなくてはならない。
ーー1月11日
今日が何の日か、分からない筈がない。
実季様の命日だ。
だからこれ以降は、実季様が存在していることそのものが許されざる歴史になる。
この方の存在は今や、本来あってはならない徳川幕府滅亡の歴史への起爆剤なのだ。
「……いやなに、カマをかけただけだ
まさかこうも分かりやすく反応するとは」
『え…？』
「知っておるさ。全部な
儂を、殺さねばならないのだろう？」
風の音がやんだ。
静寂が訪れた世界の中に、まるで僕達2人だけしか居ないように思えた。
「…ｹﾞﾎｯ…はぁっ…儂も長くはないか…っ」
大きく咳き込み、実季様の体勢が崩れる。
壁に手を付きながら去っていく実季様を守るように、時間遡行軍が立ちはだかる。
そして、実季様と入れ替わるように今度は男士全員が駆けつけた。
激しい戦闘が始まる。
その合間を縫って、僕はたった1振り
僕が行くべき場所へと向かった。
・
「Aくん急いでー！」
『すみませんお願いしますっ』
5人が戦っている間に一旦楽屋に捌ける。
衣装をボロボロのものに替える。
同時進行で、傷のメイクを施してもらった。
「あと30秒でーす」
『はいっもう出ます！』
息付く暇もなく客席出入口に向かう。
最終場に向けての気合いは十分だ
会場内から聞こえる斬撃音がやみ、スタッフさんの合図で扉が開かれる。
『(よし…行こう)』
扉の先は、真っ暗な会場。
今日も満員の客席の間を縫って
実季様1人だけが待つ舞台へと駆け出した。
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愛莉(プロフ) - あんのお餅さん» あんのお餅様コメントありがとうございます。3年ぶりの祭、テンション上がりますよね！今からとても楽しみです！ (2021年11月16日 1時) (
レス) id: dbfedac61a (このIDを非表示/違反報告)
あんのお餅(プロフ) - 真剣乱舞祭、決定しましたね！ (2021年11月16日 1時) (レス) @page46 id: 436e739fd5 (このIDを非表示/違反報告)
愛莉(プロフ) - 那智さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、この作品を読んでいただけていること感謝しております。那智様にとって素敵な一年になりますように( ´ ` *) (2020年6月9日 19時) (レス) id: 5de24330da (このIDを非表示/違反報告)
那智 - 誕生日にこの作品に出会えて感謝感激です(≧▽≦)毎日暑いので無理されませんようお気をつけ下さい (2020年6月9日 13時) (レス) id: fb12e35feb (このIDを非表示/違反報告)
愛莉(プロフ) - ヌーマイトさん» コメントありがとうございます！これからも投稿続けていきますのでよろしくお願いします (2020年5月28日 16時) (レス) id: 5de24330da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛莉 | 作成日時：2020年5月23日 14時
