25 本編��(ここまで加筆修正済み) ページ28
「秋田実季は、死ななければなりません」
静かな主君の言葉に、目の前が暗くなるのを感じた。
『どうしてっ…ですか』
「政府は今回の改変の痕跡を探りました
その結果、やはり彼が元凶であることは間違いないと」
『でも遡行軍達は接触してないって！』
確かに実季様は遡行軍の力を借りて生きながらえたが、それだけだった。
結局、自分自身の手で徳川幕府打倒を果たすことはできなかったのだ。
『っ……人ならざる者の力は本来、人間に耐えられるものじゃないって石切丸さんが言っていました』
「ああ。それで寿命を伸ばすなど、かなりの無茶だよ」
『だからきっと、実季様が綱吉公を直接殺さなかったのは、体が持たなかったからです
僕たちが…殺さなくても、あの人は……』
きっと、何も成せずに死ぬ。
残酷な言葉だが、今の自分にとっては救いだった。
それなら、無力化して遡行軍から引き離せば或いはどうにかなるかもしれない。
「いいや。それは違うな」
『鶴丸さんなんでっ』
「小石だって川に投げ入れれば大きな波紋を生じるのさ」
「ええ。生き延びた秋田実季は歴史の異物
その小さな歪みは、いずれ正史を大きく歪める」
『っ……』
本当は、分かっている。
遡行軍に組みしたこと、それだけで敵と判断するに十分であることを。
けど、あの人が徳川を恨んだのは、幕府のせいで孤独に死なねばならなかったからだ。
あの人は最後まで報われなかった。
『実季様は……寂しい人だったんです
そんな人に、史実通りに1人で死ねと言うことが僕らの使命ですか？』
沈黙。
『僕達が実季様を殺さなきゃいけないんですかっ……？』
自分の体の中の何かが、グラグラと揺れるのを感じる。
頭がカッと熱くなる。
「なあ秋田」
けれども聞こえてきたのは、僕と反対に酷く凪いだ声だった。
『つ、るまるさん』
「俺達がこの任務に失敗すれば、政府は恐らくあの世界を放棄する」
『放……棄』
「そうなったらあの秋田実季はどうなる？
あいつは、間違った歴史の中を永遠に彷徨い続けるんだ」
『そんな！』
何も成せず、死ぬことも許されないなんて。
そんなのは惨すぎる。
実季様も僕も、そんな悪夢を望んだわけじゃない。
『僕は……っ、あの人が1人で死ぬのはやっぱり嫌です
でもあの人がずっと1人なのはもっと嫌です！』
それは、決して幸福とは言えないけれど。
『僕は、あの人の正しい最期に寄り添います』
だからもう一度
僕にあの人を救うチャンスを下さい。
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愛莉(プロフ) - あんのお餅さん» あんのお餅様コメントありがとうございます。3年ぶりの祭、テンション上がりますよね！今からとても楽しみです！ (2021年11月16日 1時) (
レス) id: dbfedac61a (このIDを非表示/違反報告)
あんのお餅(プロフ) - 真剣乱舞祭、決定しましたね！ (2021年11月16日 1時) (レス) @page46 id: 436e739fd5 (このIDを非表示/違反報告)
愛莉(プロフ) - 那智さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、この作品を読んでいただけていること感謝しております。那智様にとって素敵な一年になりますように( ´ ` *) (2020年6月9日 19時) (レス) id: 5de24330da (このIDを非表示/違反報告)
那智 - 誕生日にこの作品に出会えて感謝感激です(≧▽≦)毎日暑いので無理されませんようお気をつけ下さい (2020年6月9日 13時) (レス) id: fb12e35feb (このIDを非表示/違反報告)
愛莉(プロフ) - ヌーマイトさん» コメントありがとうございます！これからも投稿続けていきますのでよろしくお願いします (2020年5月28日 16時) (レス) id: 5de24330da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛莉 | 作成日時：2020年5月23日 14時
