ー6 ページ47
「……あの時、初めてあった日。私言ったよね……家族ごっこでもしてみましょうって……。
でも違うのよアンナ。貴方は世界でたった1人の私の妹なのよ」
こんなにもレアを泣かせてしまうことになるとは思わなかった。
私も、これ程寂しくなるとは思わなかった。
「行かないでアンナ……そばにいて……」
私は椅子を降りてレアの元に行き、抱きしめた。私をあんなに軽々と抱きあげた身体が、とても小さく思える。
「お姉ちゃん、愛してる。私の人生にも、こんなに平和な時間があったんだって初めて知った。
お姉ちゃんのそばに居ると、暖炉で温まるみたいにホッとするの……自慢のお姉ちゃん……お願いだからもう泣かないで」
レア……お姉ちゃんは見たこともないぐらい子供のように泣きじゃくった。泣いて泣いて、次の朝が来るまでは離してくれなかった。
「必ず帰って来ると約束して……私達はずっと待っているから」
「……うん、約束」
果たせらた……いいな。
「……は」
もう、そこには何も無かった。
おかえりと言ってくれる旦那さんも、必死にはいはいをして迎えてくれたあの子も、お姉ちゃんと2人で一生懸命働いた店も、何時でも私を想って、抱き締めて、愛してくれたお姉ちゃんも。
全てが無くなっていた。
店の中はまるで竜巻が起きたかのように床はえぐれ、血飛沫で描かれた壁も所々ない。
硝子や陶器が割れて散らばる床を踏んで歩けば、足元に小さな首が転がっていた。
最近少し立つようにもなって、あの時は3人で大はしゃぎした。旦那さんは転んで足を捻挫したけれど。
すぐ近くにはお姉ちゃんが最近手作りしてたピンクのお洋服を来た胴体が転がっている。
それを護るように抱き締めているのは顔がぐちゃぐちゃに変形した旦那さん。
とてもイケメンな旦那さんとは思えない程に、それは捻れ、ちぎれて…………
「あぁぁ」
なんで？
どうしてこうなったの？
「……お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん」
調理場にも居なくて、2階へと上がる。
まず階段に落ちていたのは包丁を持ち続けてできたタコのある白い手が2つ。
リビングに落ちてたのはいつも私に長さを自慢してきた細長い脚が2つ。
部屋の前に落ちていたのはスタイルが良くてたまに嫉妬した胴体。
部屋の中では、あのロン毛の男が街の美人と呼ばれたお姉ちゃんの顔を放り投げて遊んでいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
薄桃桜(プロフ) - A’さん» そんな……私にはもったいない言葉です。でもこうして誰かに読んで頂けて、感想を貰えて、とても嬉しく思います。これからも私が伝えたい事を少しでも表現出来るよう日々精進していきます！本当に優しいお言葉、ありがとうございました。 (2022年8月2日 8時) (
レス) id: d27f44688d (このIDを非表示/違反報告)
A’(プロフ) - なにこれ．．．最高すぎます！！東リべみたいでなんかカッコイイです！！それから、薄桃桜さん自身は｢文才がない｣なんて言うけど、私はそうは思いません。とても分かりやすくてセンスのある表現をされています。尊敬します。�兇諒�も引き続き頑張ってください！！ (2022年8月1日 2時) (レス) @page29 id: 931e8514a8 (このIDを非表示/違反報告)
薄桃桜(プロフ) - にゃるす。さん» そう言って貰えるだけでとても嬉しいです！少し遅めの更新になるかもしれませんが、頑張ります！ (2022年7月25日 6時) (レス) id: d27f44688d (このIDを非表示/違反報告)
にゃるす。 - この作品大好きです！！主人公と旅団やゾルディック家やクラピカ達との絡みが最高です！！更新頑張ってください！応援しています！ (2022年7月24日 18時) (レス) @page41 id: e39ed7afb5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：薄桃桜 | 作成日時：2022年7月19日 11時
