しょうもない理由 ページ25
分が悪そうに後ろの踊り場から現れた鉄朗。項に手を添え眉を下げ眉間に皺を寄せている。私はなぜ彼がここに居るのか、言葉にできない感情を研磨に目で訴えたのだが研磨はそれをわざと無視して話を進めた。
｢じゃあ、後は2人で｣
『はぁ！？ちょっと研磨！！』
待ちなさい！そう言って彼を引き止めるつもりだった。しかし手を伸ばそうとした腕はピクリとも動かず、その代わり私よりも大きな掌が腕を掴んでいた。
｢A｣
『……』
｢少し、俺と話してくれない？｣
『う、うん』
鉄朗は頷く私の隣に静かに座った。沈黙の末、彼は私の様子を伺いながら話を切り出した。
｢…その、今は大丈夫なのか｣
『うん、良い人がいたから』
｢それは良かったな｣
また沈黙が流れる。きっとこの状態がしばらく続くのだろう、でもそれは意味が無いことではない。私にとって、彼にとっての準備なのだ。だからお互いの時が来るまでお互いを探る。
そして、鉄朗の口が動いた
｢悪かった…｣
『気にしてないよ、なんてそんな優しいこと言えない。私はとても傷ついたから』
｢そうだよな、俺は許さなれないことをした。俺は、お前から逃げたんだ｣
逃げる、その言葉を聞いて唇が動く。そう、彼は小学生の時私から逃げた。なぜ…一体私から何を思って逃げたのだろうか。私がどれだけ、彼のことを、貴方の事を、鉄朗のコトを…
『ねぇ…どうして逃げたの？私の気持ち知っていたくせに』
｢いや、しょうもないことだったんだ。今は本当に後悔してる｣
『どんな理由でもいい、話してくれるだけでいいの』
息を詰まらせて私から目を逸らした。そんなに私に理由を言いたくない？私は彼を軽く睨むと参ったとでも言う表情で溜息をついた。そして息を大きく吸い気まずそうにボソボソと口に出した
｢お前とキスしたのを友達に見られてからかわれたんだよ…それが恥ずかしくなってお前のこと避けた｣
『……は？』
からかわれて？それで私の事避けた？
私にあほ面に慌てて
｢だからしょうもないって言っただろ！あの時は子供だったんだ…好きな奴の事からかわれて、いたたまれなくなったつーか、なんと言うか｣
俺格好悪ぃ…小さく聞こえる鉄朗の声。恥ずかしさと罪悪感が混ざったその声に私は耐えられず笑いを吹き出した。
『あははっ！鉄朗って思ったよりお子ちゃまなんだね』
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ちゅこ(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます。大変お待たせ致しました…全力で頑張らせて頂きます！！ (2021年9月30日 22時) (
レス) id: a23258a94d (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの？私バカなの？((((喧しいわ (2021年9月1日 23時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゅこ | 作成日時：2020年12月13日 19時
