6 ページ7
.
『ただいま戻りましたーって、あれ？あなた、綺麗な色の髪を持ってたんだね』
「えっと…ありがとうございます」
あの後、城の全体がよく見えるよう少し高い所まで行き、その風景をこの目に収めた後、再び屋敷に戻った。
中に入ると、ゼンと先程の者と思われる赤い髪を持った女性が並んでソファーに座っていたのだ。
よく見ると、ゼンが手首の手当を受けている。さっき着地が失敗したときに捻ったものだろうか。
突然入ってきた私に驚いたのか、目を丸くする赤髪の女性。それが少し可愛くて、くすりと笑ってしまった。
「ちょうど良かった。紹介するよ白雪。今帰ってきたのがAで、あっちでチェスをしてる負けてるのがミツヒデ、余裕で勝ってるのが木々だ」
「ゼン！なんで見てもいないのに俺が負けてるって言い切れるんだ！？」
「なんとなく」
「現に負けてる」
『本当だ！相変わらず弱いねーミツヒデ』
「Aまで！」
ミツヒデに次は私とやろう！と話していると、赤髪の女性…白雪は、少し散歩に行くといって外へ出ていった。そして、それを追いかけるようにゼンも外へ。
…ん？ゼンも？
『もう！ゼンが行っちゃったらチェスできないじゃん！』
「仕方ないね、A。チェスはおわづけだ」
「Aは木々に負けた俺の傷を抉りたかっただけだろ？」
『まさか。そんな人聞きの悪い』
「ほら行くよ」
『はーい』
私たち3人は、ゼンと白雪の後をこっそりとつけていった。
白雪には悪いが、ゼンと2人っきりさせるには正直まだ信頼が足りていない。会って一日も経っていない少女だ。
ゼンに何かあった時にすぐに駆けつけれるよう、一定の距離を保って私達は2人を尾行した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 33人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：汐崎 | 作成日時：2023年1月14日 16時
