15 ページ16
.
「白雪。俺が森で言ってたこと、覚えてるか?俺としては今、お前といることは運命の方だと嬉しいんだがな」
ゼンは座り込んでいる白雪に、足を折り、目線を合わせる。
空の茜色が2人を照らし、包み込む。それがとても綺麗に思えた。
私たちは後ろから見守っているだけ。それがなによりも心地よく、ミツヒデと木々と、3人で微笑みあった。
「お前が自分で向かった森に俺たちがいて、関わりを持って、互いの身を守ろうとした。それがこの場限りの毒か、これからの繋がりか、お前が決めればいい」
「それは…私が決めていいことなの?」
「当然。俺だって、自分の道は自分で決めてる。決めてその道に進めるか進めないかは、自分次第だろ」
──────お前が選べばいい。たとえこの手を取らなくても、お前の未来は明るいかもしれない。けど俺は、お前とここで出逢えたことを運命だと思いたい。
ああ、そうだ。ゼンはいつだって、誰かの光になる。あのとき、私に手を差し伸べて救ってくれたように。
「ゼンって…」
「なんだ?」
「やっぱすごい考え方するね」
「考え方じゃく、生き方ですけどね」
ゼンは立ち上がり、白雪に手を伸ばす。
「お前の答えは?」
「…私は」
風が通り抜け、私たちの髪を靡かせる。
白雪の赤い髪が夕日に照らされ、まるでこれからの未来を暗示しているかのよう。
『やっぱり、私たちの主はかっこいいね』
「ああ。そして、そんな方に仕えていることが何よりの誇りさ」
.
33人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:汐崎 | 作成日時:2023年1月14日 16時