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「そうか!毒を口にした男というのは君のことか!いや不運な事だった。白雪殿を動けないようにして、連れて帰る手筈だったのだが…」
『…っお言葉ですが』
「やめとけ、A」
思わず口先から零れた声に、ミツヒデから制止を食らう。
ゼンを侮辱された気分だ。
この王子、ゼンがクラリネスの第2王子だということを知らないのか…?
はたまたそれを承知の上で申しているのか…?
どちらにせよ、最悪な印象であることにはかわりない。
それに、やはりあれは白雪を目的にして寄越したもの。…虫唾が走る。
「お前が林檎を寄越した張本人か?」
「…口の利き方を改めろ!男!私と君とでは身分が違うのだぞ!」
ああ、やはり前者だったか。
ゼンの発言に対し、あからさまに怒りの意を表すラジ王子。
「これは失礼を。タンバルン王国第1王子。ラジ・シェナザード殿」
「え?」
「では面倒だが改めて」
クラリネスの紋章が刻まれた剣を前に強く差し出したゼン。それと同時に、私たちもゼンの後ろへつく。
「お初にお目にかかる。私はクラリネス王国第二王子。ゼン・ウィスタリア」
「第二…」
「王子ぃぃ!?!?」
ラジ王子はみるみるうちに顔を青くし、慌てふためいている。その姿に、思わずため息をつきそうになるのをぐっと堪えた。
「ゼン!しっかりして!私の事わかる?1+1は!?」
「正気だ白雪」
白雪はまだ信じられない様子で駆け寄るが、それに笑って返すゼン。
パチリと白雪と目があったので、私も微笑んでおいた。
「まさか、Aさんたちも…?」
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作者名:汐崎 | 作成日時:2023年1月14日 16時