彼に堕ちてはいけない【古橋】 ページ10
教室の隅の自分の机でただただ泣いていた。
声を殺して、涙を流しながら外を眺めていた。
無いものを求めるように。
「…大丈夫か?」
『え?…あ、古橋くん…だよね。大丈夫だよ』
隣の席の古橋くんはいつも黙って無表情だった。
喋ったこともないから声をかけられたときは驚いた。
「…そうか」
古橋くんはさっさと自分の机からノートをとって行ってしまった。
*
次の日から古橋くんとよく話をするようになった。
といっても古橋くんから話かけてくることが多かった。
そんな彼が私は好きだった。
それでも私の胸の中の不安は消えなかった。
*
古橋くんに相談しようと思ったので、私から喋りかけた。
『あの、古橋くん』
「あ、Aか…すまない、今少し忙しくてな」
一言吐いて古橋くんはドアのほうに向かっていた。
そこには私を嘲笑っている花宮くんがいた。
*
その日、屋上で手紙を書いた紙で鶴を折っていた。
『ごめんね…ごめんね…古橋くん…私…もう…』
折った鶴の羽に古橋くんへと書いて屋上に置いとき私は飛び降りて頭を強く打ち付けた。
落ちるときにみえた大好きだった彼の姿がみえた。
そして、一言呟いていた。
「やっと俺のモノだな」
*
誰かが飛び降りたというのを耳にして屋上に行くとたくさんの人だかりができていた。
下をみると先生たちが無残に死んでいる女の子を囲んでいた。
そして、問題の飛び降りた子。それは大好きな彼女だった。
彼女からは赤い液体が飛び散っていた。
そんなハズはない、だって彼女は…Aは昨日まで素敵な笑顔で俺に光を与えてくれていたのに。
「古橋くん」
「…っ、あ、花宮…」
人が何人かいるので猫を被っている。
「コレ…古橋くん宛ての手紙だと思うよ、Aさんからの」
「Aから?…」
手紙を受け取ると、鶴の形をしていた。
それをあけるとキレイに整ったAの字がかいてあった。
【ごめんね、死んじゃった。大好きでした。Aより】
ポタポタと流れる湿ったモノは素直になれない弱虫の俺でもわかった。
「A…っ!Aっ!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」
俺の背中を摩る花宮の手はどこか変な風に震えていた。
俺の無様な叫び声は彼女に届いただろうか_
‐彼女の真実は誰も知らない‐
彼と浮気してはいけない【原】→←彼と会ってはいけない【実渕】
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れーたん - 忙しい中書いてくれてありがとうございました!すごく良かったです! (2014年7月19日 14時) (レス) id: ecfdd5f91d (このIDを非表示/違反報告)
れーたん - ふろーとまかろん.さん» 遅くても大丈夫です!修学旅行、楽しんで下さい! (2014年5月24日 12時) (レス) id: ecfdd5f91d (このIDを非表示/違反報告)
ふろーとまかろん.(プロフ) - れーたんさん» 了解です!ですが、明日から修学旅行なので遅くなりますがそれでもいいですか? (2014年5月23日 19時) (レス) id: a73db4460d (このIDを非表示/違反報告)
れーたん - リクしても大丈夫ですか?青峰くんで、切ない、辛い感じの話をお願いします! (2014年5月23日 10時) (レス) id: ecfdd5f91d (このIDを非表示/違反報告)
ふろーとまかろん.(プロフ) - (=綾ω猫=)さん» 笠松さん、初めてなので下手になるかもですが、ぜひかかせていただきます (2014年5月16日 21時) (レス) id: a73db4460d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふろーとまかろん. | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/macaron1017/
作成日時:2014年2月1日 0時