執着の氷華２【ブルーロック】

５６.興味がある ページ10

次俺９作戦を実行する１人目は、２６５位の私からだ。


「頼む、御影！」

『うん』


國神君がセンターサークルに置いてあるボールを私にパスし、受け取った瞬間、私は駆け上がって行った。
私の“１番の武器”はトラップだが、ドリブルも得意としている技だ。
ドリブルで抜ける所まで行って、ディフェンスで阻まれると、一旦誰かにパスを戻す。
流石に蜂楽君みたいに１人で抜ける程、私のテクニックは優れていないのだ。











敵陣の所まで乗り込むと、３人のディフェンスが道を阻もうと立ち塞がった。


「抜かせるな！」

「止めろ止めろ！」


３人相手は少し厳しい。
チラリと後ろを見ると、こちらへと走って来る潔君が見えた。


『潔君、一旦お願い！』

「任せて！」


潔君にパスを出すと、上手い事受け止めてくれた。
すると一気に潔君の元にディフェンスが向かい出し、私はその間に前方へと向かって行く。











『もう１回、潔君！』


敵のゴール前で立ち止まると、潔君に合図を出した。
私の声に頷いた潔君はディフェンスを避けてからボールを蹴り上げ、私へとパスを出す。
そのボールは高々と舞い上がり、フラフラと力無く揺れている。
そのまま私の元へと急降下し、それをタイミングを合わせてトラップした。
足首の内果部にピッタリとフィットし、ボールの動きを完全に止める。


「まじか……」


誰かの驚きの声が聞こえた。
久々にやったけど、やっぱり感覚と言うのはそう簡単には抜けないらしい。
一瞬のズレも無く、完璧に成功した。











そして、私はゴールポストに向けてシュートを放つ。
確実に点を決めた。
そう確信したのも束の間、横から現れた人影によってシュートブロックされた。


『なっ……』


絶対に入ったと思ったのに、まさか止められるとは思わなかった。
ボールをブロックした人は、前髪で目を隠している細身の男の人だ。










「やっぱり、貴女はこの中で１番危険ですね。ブロックするので精一杯だった」


私へと顔を向けて、静かに呟く男の人。
確か名前は、『ニ子一揮』君。
大川さんみたいに圧倒的なＦＷ型では無いが、その代わりに周りをサポートするのが上手い選手だ。
でもあんな一瞬でボールをブロックするなんて、並外れた瞬発力だとしか思えない。


「君達の事は既に研究済みです……特に貴女は。初めて映像で見た時から、僕は貴女に興味があるんですよ」


見えない筈のニ子君の目と、視線が交じり合った様な気がした。

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