検索窓
今日:438 hit、昨日:1,034 hit、合計:72,790 hit

86.再会 ページ40

ドクン、ドクン、と激しい心音が聞こえる。


言葉が出せない。
息が出来ない。
目を逸らす事も出来ない。


あんなに会いたかったのに、素直に喜ぶ事さえ出来ない。


「兄さんって……」


驚いた様に声を出したのは、潔君だった。
他の皆も兄さんと私を見比べて、呆然としている。











「本当に、Aなの……?」


ポツリ、と呟かれた言葉。
視線を移すと、其処には兄さんと同じ様に目を開いている凪君の姿。


彼にも会いたくなかった。
まだ私は、2人に相応しい選手になっていない。
どうして、こんな所で再会してしまったんだ。


私は、まだ2人の元には帰れないのに。


『う、あ……』


情けない程、上手く呂律が回らなかった。












兄さんが何かを言おうと口を開いた瞬間、私は食堂を出て逃げ出した。
これ以上、凪君の姿も兄さんの目を見ている事も出来なかった。


「A!!」


声を張り上げて、兄さんが追い掛けて来る。


曲がりくねった青い監獄(ブルーロック)の廊下を走り続け、只管兄さんから逃げた。
兄さんに会ったら、話そうと思っていた事が沢山ある。
前の様に優しく抱き締めて欲しいし、沢山声が聞きたい。


だけど、私は―――












「A、逃げるな!!」


グッと、腕を引かれる。
その力強さに、抵抗しようにも抗えない。


『いっ……』


ギリッ、と掴まれた腕が痛む。
思わず顔を歪めてしまったが、兄さんの力は緩まなかった。
寧ろ、益々強まっている。


「やっと……やっと、見つけた」


絞り出す様な声。
手の力に比べて弱々しい声に戸惑っていると、縋り付く様に抱き締められた。


『兄さん……?』

「A、A、A……」


兄さんは、私の名前を呼び続ける。
抱き締められて行く腕に圧迫感を感じて苦しかったが、兄さんを拒む事も出来なかった。


このまま兄さんの背に腕を回せれば、どれだけ楽だっただろうか。












「何で、俺の傍から離れたんだ」


その言葉に、背筋が凍った。


「何で、俺の前から消えたんだ。何で、勝手に居なくなったんだ。何で、俺との約束を破ったんだ。何があっても、俺と一緒に生きるって約束しただろ。俺を拒まないって言っただろ。俺だけを見てるって言っただろ。俺の思い違いだったのか?妄想だったのか?それとも、あれは全部嘘かよ?

答えろよ、A」



私は、何も答える事が出来ない。
それでも兄さんは、逃がさないと言う様に、私の身体を壁に付けた。

87.誰のもの→←85.見つけた



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (180 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
674人がお気に入り
設定タグ:ブルーロック , 御影玲王 , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

こはね(プロフ) - ほんとに冗談抜きで今までのブルロの作品で1番好きです!笑こんなに私のドストライクの作品に出会えてほんっっとに嬉しいです〜!! (5月12日 15時) (レス) id: 1bc7951b1f (このIDを非表示/違反報告)
Banri - poyocooooooさん» コメントありがとうございます!私の作った話をどう評価されるのかいつも気にして投稿しているので、コメントを読ませて頂いてとても自信を持つ事が出来ました!これからもよろしくお願いします! (4月26日 17時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
poyocoooooo(プロフ) - 玲王との関係が私の妄想(笑)と完全一致で展開されすぎていて最新話を読んで鳥肌がたちました😍毎話ドキドキしながら読ませていただいています!他の方も書かれていますが、ほんとに星を一度しか付けられないのが悔しいですが、何度も押してます!! (4月26日 5時) (レス) id: 7859abe11c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - MaOさん» コメントありがとうございます!やっと玲王君との絡みを出せたと安心していたんですけど、早く他のキャラとの話も書きたいとウズウズしています笑。どのキャラとどう関わっていく事になるのか、楽しみに待って頂けたら嬉しいです! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - shionさん» コメントありがとうございます!今回の話は悩んで作ったので、喜んで頂けてとてもホッとしています笑。コメントはいつでも受け付けているので、これからも気軽にして頂けると嬉しいです!今後もよろしくお願いします! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Banri | 作成日時:2024年2月16日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。