７９.お疲れ ページ33
「裏切るって、何の為にそんな事……！？負けたら、お前も俺達も終わりなんだぞ！？態と負けて、何になるんだよ！？」
五十嵐君の悲痛な叫びが、フィールドを包む。
「負けて帰るのは、お前らだけだ。俺は、１人で生き残る」
前髪を手で上げながら、久遠さんが言った。
今まで聞いた事の無い冷たい声音に、本気なのだと嫌でも分かる。
「あんがと、久遠ちゃん」
久遠さんは、保持していたボールを弟さんにパスした。
敵にパスをするなんて、サッカーの常識では信じられない行為だ。
「ここからは、１２人対１０人でやろう」
完全に、チームWに寝返った久遠さん。
『は？』と、潔君の動揺と困惑が混ざった声が零れ落ちる。
「俺は思ったんだよ。こんな綱渡りで勝たなきゃいけない様なチームで、残りの試合を勝ち抜ける確率は低いってね。俺達の最終戦の相手は、グループで唯一の２連勝チームVだ。
だから俺はチームで勝ち上がる事を諦めて、１人で勝ち上がる事にしたんだ」
久遠さんの言葉に、ある考えが頭を過ぎった。
『それって、まさか……得点王の事ですか？』
「流石、Aちゃん。その通りだよ。やっぱり君は、とても優秀な子だね」
感心した様に、まるで子供に向ける様な笑みを浮かべる久遠さん。
「最多得点者１人は、次の選考に上がれるんだよ。だから俺は、取引した。チームWにウチの情報を流し、勝ち点３点を取らせる代わりに、俺に３点を取らせてくれってね」
信じたくなかった。
でも今の久遠さんが、嘘を言っている様には見えない。
「今まで一緒に戦って来たのは、何だったんだよ！？一緒に勝とうって言ったじゃん！」
潔君が、詰め寄る様に言う。
一瞬無言になった後、久遠さんは『ありがとう、潔君』と呟いた。
「君が、そんなに馬鹿で良かった」
口元を歪めた久遠さんが嘲笑う。
その言葉に何かを返す間も無く、久遠さんのアシストにより、再び鰐間兄弟がゴールを決めた。
「此処は
これでチームWの得点は、４点になった。
訳も分からず、あっと言う間に逆転されてしまったのだ。
「お疲れ、チームZ！」
久遠さんは、別れを告げる様に手を振る。
嫌だ、認める訳にはいかない。
―――こんな所で、こんな形で、絶対に終わりたくない。
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こはね(プロフ) - ほんとに冗談抜きで今までのブルロの作品で1番好きです！笑こんなに私のドストライクの作品に出会えてほんっっとに嬉しいです〜！！ (5月12日 15時) (
レス) id: 1bc7951b1f (このIDを非表示/違反報告)
Banri - poyocooooooさん» コメントありがとうございます！私の作った話をどう評価されるのかいつも気にして投稿しているので、コメントを読ませて頂いてとても自信を持つ事が出来ました！これからもよろしくお願いします！ (4月26日 17時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
poyocoooooo(プロフ) - 玲王との関係が私の妄想（笑）と完全一致で展開されすぎていて最新話を読んで鳥肌がたちました😍毎話ドキドキしながら読ませていただいています！他の方も書かれていますが、ほんとに星を一度しか付けられないのが悔しいですが、何度も押してます！！ (4月26日 5時) (レス) id: 7859abe11c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - MaOさん» コメントありがとうございます！やっと玲王君との絡みを出せたと安心していたんですけど、早く他のキャラとの話も書きたいとウズウズしています笑。どのキャラとどう関わっていく事になるのか、楽しみに待って頂けたら嬉しいです！ (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - shionさん» コメントありがとうございます！今回の話は悩んで作ったので、喜んで頂けてとてもホッとしています笑。コメントはいつでも受け付けているので、これからも気軽にして頂けると嬉しいです！今後もよろしくお願いします！ (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Banri | 作成日時：2024年2月16日 19時
