50.スーパーヒーロー ページ4
國神君からの突然のお礼に潔君は少し困惑気味だったが、もしかしてと言いた気に顔を顰める。
「え?……前の試合の事?」
「おう。俺の信念は『正々堂々』だからな」
「わざわざ、それ言いに来たの?」
最後まで不思議そうな顔を浮かべている潔君。
他の人達はパスを出した事に対して批判的な意見ばかりだったから、こうしてお礼を告げられるとは思わなかったのだろう。
『じゃ、そんだけ』と言って立ち去ろうとする國神君に続こうと私も後ろを向いたが、『ちょっと待って!』と潔君に呼び止められる。
「國神と御影さんってさ、何でサッカーやってんの?」
今度は、こちらがキョトンとしてしまう番だった。
もしかしたら、國神君を呼び止める為に咄嗟に出た言葉なのかもしれない。
『サッカーをやってる理由?』
「何だ、その質問」
「あ、いや……2人って、シュート力とかドリブルとか、俺には無い武器いっぱい持ってるからさ。2人みたいに、凄い人がどんな事考えてんのかなぁとか……」
そこまで言って、『何、聞いてんだろ俺……忘れて!』と焦った様に視線を逸らした。
私がサッカーをやっている理由、か。
すると暫く無言だった國神君がゆっくりと口を開いて、潔君に向き直った。
「そんなの簡単だ……俺は、サッカーでスーパーヒーローになる」
1つも表情を崩さず、真剣な顔付きで國神君は言った。
静かに燃えている決意の目が、冗談なのでは無いのだと語っている。
『スーパーヒーロー……』
「子供の頃な、俺が憧れたのは戦隊ヒーローでも、ロボットでも、海賊王でも無くて……緑の芝生を駆け巡って勝利の為にゴールを奪う、ストライカー達だった。
少し懐かしむ様に目を細め、堂々と宣言する國神君。
そんな彼に潔君は呆然とした様子で、『マジ……で言ってんの?』と問い掛ける。
「当たり前だ。別に神様に無理だと言われても、誰かに馬鹿だと笑われても、そんな事どうだって良い。俺は俺の夢の為に、正々堂々と世界と戦う。恥ずかしい事なんて1つも無い」
潔君の言葉に、國神君は間髪入れず肯定した。
自分なら出来ると信じているその目が、私には眩しい。
『……格好良いな』
何の鎖にも縛られず、自分の夢を語る國神君が、ただただ格好良かった。
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こはね(プロフ) - ほんとに冗談抜きで今までのブルロの作品で1番好きです!笑こんなに私のドストライクの作品に出会えてほんっっとに嬉しいです〜!! (5月12日 15時) (レス) id: 1bc7951b1f (このIDを非表示/違反報告)
Banri - poyocooooooさん» コメントありがとうございます!私の作った話をどう評価されるのかいつも気にして投稿しているので、コメントを読ませて頂いてとても自信を持つ事が出来ました!これからもよろしくお願いします! (4月26日 17時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
poyocoooooo(プロフ) - 玲王との関係が私の妄想(笑)と完全一致で展開されすぎていて最新話を読んで鳥肌がたちました😍毎話ドキドキしながら読ませていただいています!他の方も書かれていますが、ほんとに星を一度しか付けられないのが悔しいですが、何度も押してます!! (4月26日 5時) (レス) id: 7859abe11c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - MaOさん» コメントありがとうございます!やっと玲王君との絡みを出せたと安心していたんですけど、早く他のキャラとの話も書きたいとウズウズしています笑。どのキャラとどう関わっていく事になるのか、楽しみに待って頂けたら嬉しいです! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - shionさん» コメントありがとうございます!今回の話は悩んで作ったので、喜んで頂けてとてもホッとしています笑。コメントはいつでも受け付けているので、これからも気軽にして頂けると嬉しいです!今後もよろしくお願いします! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年2月16日 19時