76.ハットトリック ページ30
久遠さんのお陰で先制点を取ったチームZは、そのまま順調な程、有利に進んでいた。
警戒していた鰐間兄弟も掻い潜り、2点、3点と、点数を重ねって行ったのだ。
しかもその全てが久遠さんが決めた得点であり、彼はハットトリックを成功させていた。
何の危険も無く進んで行く試合状況に安堵すると共に、私の中には何故か不穏な気配が蠢いていた。
前半戦が終わり、ハーフタイムとなったロッカールームでは、これまでに無い程の熱気で溢れていた。
「前半で3ー0!久遠の武器炸裂!1人だけ突出させやがって!!」
「何か今日の俺、上手く行き過ぎて怖ぇ!!」
「後半は俺が3点決めて、6ー0だからな!!」
今までの試合はギリギリの状況か、先制される事が多かったから、皆この状況に驚くと共に喜んでいる。
何だかスムーズに行き過ぎて怖い気もしていたけど、それ程私達の実力が付いてきたと言う事だろう。
「このまま勝ち切るぞ!チームZ!」
潔君の言葉に、皆が頷く。
・
ハーフタイムが終わり、後半戦が始まった。
キックオフは、雷市君からだ。
「こっからは雷市タイムキックオフだ!」
愉快そうに駆け抜ける雷市君。
こちらには3点も持ち点があると言う余裕がプラスになって、気持ちにゆとりがあるのだろう。
そんな彼の背後から現れたのは、鰐間兄弟のお兄さんの方だった。
「一旦戻せ!ゆっくり時間使ってこー!!」
久遠さんが、直ぐに声掛する。
確かにこちらがこれ以上攻める必要は無い、パスを回して時間を稼げべば勝ちは堅い。
雷市君はやや不満気だったが、大人しく久遠さんにパスを出した。
「ボール返せよ、久遠!」
「勿論!チームが勝つのが最優先だ!」
そんな会話を交わす、雷市君と久遠さん。
その時だった―――
『久遠さん、後ろ!』
久遠さんの後ろから迫っている人影に気付いた私は、咄嗟に声を上げる。
「オイシイとこもーらい♪」
久遠さんの足からボールを奪ったのは、弟さんだった。
兄弟2人で、中盤からDF……?
戦い方を後半から修正して来たのだろうか。
何だか妙な気もするが、こちらは点を与えない様にただ止めるだけだ。
『あ……』
潔君、千切君と共にDFに徹したが、兄弟のコンビネーションによって全て躱されて行った。
そして遂には伊右衛門さんも防ぐ事が出来ず、シュートを決められてしまう。
―――ここから、チームWの怒涛の反撃が始まった。
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こはね(プロフ) - ほんとに冗談抜きで今までのブルロの作品で1番好きです!笑こんなに私のドストライクの作品に出会えてほんっっとに嬉しいです〜!! (5月12日 15時) (レス) id: 1bc7951b1f (このIDを非表示/違反報告)
Banri - poyocooooooさん» コメントありがとうございます!私の作った話をどう評価されるのかいつも気にして投稿しているので、コメントを読ませて頂いてとても自信を持つ事が出来ました!これからもよろしくお願いします! (4月26日 17時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
poyocoooooo(プロフ) - 玲王との関係が私の妄想(笑)と完全一致で展開されすぎていて最新話を読んで鳥肌がたちました😍毎話ドキドキしながら読ませていただいています!他の方も書かれていますが、ほんとに星を一度しか付けられないのが悔しいですが、何度も押してます!! (4月26日 5時) (レス) id: 7859abe11c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - MaOさん» コメントありがとうございます!やっと玲王君との絡みを出せたと安心していたんですけど、早く他のキャラとの話も書きたいとウズウズしています笑。どのキャラとどう関わっていく事になるのか、楽しみに待って頂けたら嬉しいです! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
Banri - shionさん» コメントありがとうございます!今回の話は悩んで作ったので、喜んで頂けてとてもホッとしています笑。コメントはいつでも受け付けているので、これからも気軽にして頂けると嬉しいです!今後もよろしくお願いします! (4月25日 19時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年2月16日 19時