44.置かれた状況 ページ46
「そもそも、潔をCFにしたのが間違いなんだよ!次の試合は俺が1トップだからな!」
「いや、俺だね!潔がショボかっただけで、俺がCFなら勝てるし!」
「つーか俺、もうDFなんかやりたくねーぞ!!」
試合が終わり、ロッカールームで休憩していた私達の間には、バチバチと火花が散っていた。
雷市君を始め、文句を言っている人も居れば、ただ黙って座り込んでいる人も居る。
私もその内の1人で、水を飲みながら彼らの口喧嘩を無言で見つめていた。
すると、タオルを首に掛けている久遠さんが凄まじい怒号を上げた。
「いい加減にしろよ、お前ら!俺達は既に1度負けたチームなんだ……これがどう言う状況か分かってんのかよ、皆……!?」
初めて聞く久遠さんの怒りの声に、誰もが口を閉じた。
普段温厚な人を怒らせると怖いと言うのは、正しくこう言う事だろう。
少し怖気づきながらも、五十嵐君が『分かんね、何なの……?』と問い返した。
「5チーム総当たりのリーグ戦で勝ち残れるのは、上位2チーム。仮に全チームが2勝2敗の互角だったとした場合の勝ち点は『6』、つまり勝ち上がる為に目標とするべき勝ち点はそれを上回る『7』!!この辺りが、突破のボーダーラインになってくる可能性が高い……!!」
『つまり、どのチームも2回敗けたらもう勝ち点7には届かない。2回負けた時点で、それはもう限りなく赤に近い黄色信号の“
私が付け足す様に言うと、『Aちゃんの言う通りだ』と久遠さんは頷いた。
私の言葉だけでも皆顔を引き攣らせていたのに、『どうやって勝つかを考えないと、マジで終わるぞ!』と久遠さんが脅す様に言えば、本気で自分達の立場が危うい場所に居ると理解したみたいだ。
「……じゃあ、何か良いアイデアでもあんのかよ?」
「いや、それはまだ……」
「何だそりゃ、話になんねー」
久遠さんが言い淀むと、呆れた様に手を上げる五十嵐君。
そんな彼に『あるぞ』と告げたのは、私の隣に居る國神君だった。
「俺が獲ったあのゴールは、御影と蜂楽と潔が居なきゃ無理だった。あのゴールは、勝つヒントになるだろ」
「巫山戯んな、筋肉馬鹿!お前が得点王になりたいだけだろ!?」
雷市君は、すぐ様國神君に噛み付く。
でも、結果的に私達は点を獲る事に成功したんだ。
國神君の言葉通り、これをきっかけに勝つ為の道筋が見えて来るかもしれない。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時