４３.ストライカー失格 ページ45
「……っしゃオラぁ！！」
國神君の雄叫びが、フィールドへと響き渡る。
息が上がった状態でモニターを見上げると、チームＺの欄に“１”と刻まれていた。
……点が、入ったんだ。
「何やってんだ、潔！！巫山戯んなよ！？何で國神にパス出してんだよ！？アイツより、俺の方が明らかフリーだったろうが！！」
雷市君が潔君の胸倉を掴み上げて、腹の底から声を上げた。
目を血走らせて怒鳴る雷市君に、潔君は『いや……シュートを撃とうと思ったんだよ……』と声にならない呟きを溢す。
「お前は馬鹿か！？馬鹿なのか！？シュート撃つ気でパス出す奴がいんのかよ！？」
火に油を注ぐ発言だったのか、雷市君の顔は先程よりも更に威圧感を放っている。
そんな２人の間に、慌てて久遠さんが割って入った。
「やめろ、雷市！１点取っただろ！？」
「あァ！？お前も馬鹿か！？自分以外の奴が点取って、１ー５で負けて、何が楽しいんだよ！？最終的に、１番点取った奴が勝ち残んだよ！！どーゆーつもりで
雷市君は掴んでいる手に力を込めながら、グラグラと潔君を揺さぶる。
その言葉に顔を蒼白にさせながら、潔君は弱々しく眉を下げた。
「分かんない……だって、あのパスは……無意識で……」
『はァ！？』と再び雷市君が声を荒げたが、『おい、１１番』と潔君を呼ぶ声によって遮られた。
「ゴール前でビビる奴に、ストライカーの資格はねぇぞ。才能ねぇよ、お前」
静かにそう告げたのは、キングさんだった。
冷たく突き刺す様な言葉に、潔君は絶望の色で顔を染めて絶句する。
《ピッピッピーーーっ》
試合終了のホイッスルの音が、嫌でも耳に入って来る。
試合に勝利したチームＸは拳を上げて喜び、反対に負けてしまったチームＺは誰もが顔を俯かせていた。
その音に顔を歪めた雷市君は『チッ』と舌打ちを溢して、潔君を放り投げる。
「っ……」
地面に打ち付けられた潔君は僅かに表情を崩したが、まだ呆然とした虚ろな目を浮かべて背を丸めた。
『……お疲れ、潔君』
座り込んで顔を下げている潔君と同じ目線に合わせる様に、膝を突いて声を掛ける。
私の顔をチラリと見上げた潔君は、何も言わずに私の目を見つめた。
そしてゆっくりと口を開くと、
「御影さん、俺は……ストライカー失格なのか……？」
――――その声に、私は何も答える事が出来なかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 323人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Banri - アイズさん» コメントありがとうございます！少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります！これからもよろしくお願いします！ (1月26日 11時) (
レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます！ (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます！そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです！更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします！ (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです！続きを楽しみに待っています！応援しています！ (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Banri | 作成日時：2024年1月16日 18時
