38.崩壊と纏まり ページ40
まだ各々納得している様子は無いが、とにかく試合を放棄する訳にもいかず、私達は最初の布陣へと戻って行く。
皆、冷静さを欠き始めてる。
せめて、この一次選考が一体何を試されているのか分かれば良いんだけど……。
ボールをセンターサークルに置いている潔君を見ながら、髪を指に巻き付けて考える。
絵心さんのやっている事は、必ず意味がある。
だからこそ、この一次選考の意味を理解する事こそが重要なんだと思う。
だけど、私がどれだけ考えてもチームZがこのままでは一生勝つ事など不可能だ。
「蜂楽、御影さん!俺達だけでもパス繋いでこー!」
「おっけー」
『うん』
ボールを蜂楽君に蹴った潔君は、私に目配せしながら言う。
私達がすぐに頷いた様子を見た潔君は、蜂楽君へとパスを出した。
だけどそのボールは、突如現れた五十嵐君に横取りされてしまう。
『五十嵐君……!?』
「ちょ!お前、ポジション!」
「馬鹿かよ、潔!?点取った奴が生き残るんだよ!パスなんかもう絶対しねぇっつーの!お陀仏様でぇーす!」
又しても、妨害する人が現れた事に私と潔は驚きを見せたが、五十嵐君はそのまま奪ったボールをドリブルして、敵陣へと乗り込んで行く。
その後ろ姿を私達も追い掛け始めるものの、五十嵐君は一向に足を止める気配は無かった。
「理解したぜ、
そう叫んでボールを蹴っていた五十嵐君だったが、敵にあっさりとボールを奪われてしまった。
無茶な行動をしてボールを取られた五十嵐君に、雷市君と成早君が眉を顰めて怒りに顔を染める。
「奪われんなよ、マジ殺す……」
「イガグリのアホー!!」
「だから行くなって!全員戻れ!
2人が駆け出して行く姿を久遠さんが止めようと再び制したが、そんな声、最早聞こえてすらいないのだろう。
しかも運が悪い事に、チームXはキングさんを中心に行動し始めた。
『個人で点取るより、チームで勝てば問題ねぇんだから!』と、崩壊している
あのキングさんがチームを1つにしたんだ……。
彼の特化したサッカー技術が、チームXを纏めた。
試合が始まった時は、チームZと同じ様にバラバラだったのにも関わらず、キングさんのプレー1つでチームXは一体化して行った。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時